内容説明
13年間にわたる地方巡業を終えてパリに帰還したモリエールは、一挙にその才能を開花させる。しかし、数々の傑作で人々を沸かせたモリエールにも、内には一座の女優達との問題をかかえ、外には狂信的な宗教集団との闘いがあった。時代をこえて我々を打つモリエール劇の秘密をさぐり、多彩な生涯を描き出す。
目次
1 演劇人としての生涯から(モリエールをめぐる四人の女優たち;わが名はモリエール)
2 作品をめぐって(天才は天才を知る―『うるさがた』とラ・フォンテーヌの手紙;ヴェルサイユ宮殿、「魔法の島の楽しみ」―『エリード姫』と『タルチュフ』;ドン・フアン伝説とモリエールの『ドン・ジュアン』―作品はなぜ二百年近くも眠り続けたのか)
3 根幹の演劇美学(役者モリエールと登場人物スガナレル;恋のいさかい、感情曲線;うわべの「仮面」と隠された本性―騙し、騙される芝居の世界;モリエールに嘲笑された教条主義者集団―十七世紀フランスの医学界)