内容説明
昭和30年代のヒーロー「快傑ハリマオ」のモデル、日本人谷豊。第二次世界大戦下、マレーの盗賊だった彼は、日本の特務機関の一員としてゲリラ活動を行い、昭和17年3月17日シンガポールで病死した。死後、彼は英雄として報道され、昭和18年には、彼を主人公にした映画『マライの虎』が大ヒットした。本書は、10年に及ぶ日本・タイ・マレーシア・シンガポールの調査によって、彼の生涯の実態に迫ろうとした試みである。
目次
第1章 マレーの盗賊
第2章 特務機関F
第3章 マレー・シンガポール作戦
第4章 ハリマオ神話の誕生
幻像と真実と―あとがきにかえて
著者等紹介
山本節[ヤマモトタカシ]
1939年、東京に生まれる。東京大学文学部卒業。同大学院人文科学研究科博士課程修了。愛知教育大学教授、白百合女子大学教授を経て、現在、静岡大学人文学部教授
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感想・レビュー
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印度 洋一郎
2
マレー作戦中に一緒に行動したマレー人協力者を探し出して敢行されたインタビューが収録されており、従来のハリマオ本よりも実像に迫っている。しかし、盗賊になった経緯も不明、マレー作戦でのゲリラ戦の肝心な部分も不明。何分60年前のことであり、盗賊稼業という”仕事”の性質もあって、証言を得るのが難しいようだ。証言者の印象によって、ハリマオの人物像もかなり違ってくるのも謎めいている。恐らく、接した人の立場や目的の違いが、幾つものハリマオ像が生まれた原因だろう。ムスリムなのに靖国に祀られているのも、この人物の不思議さだ2011/03/02
千本通り
1
「ハリマオ」と言えば、昭和30年代に流行ったテレビ映画「快傑ハリマオ」を連想するが、そのモデルがいることを長らく知らなかった。著者は伝承の研究者として、昭和17年シンガポールに死し、その死を契機として一世を風靡したハリマオ伝承を「神話の海」と題して平成6年に出版しているが、虚像の構造の解明のためには、一方で彼の実像をあらわにする必要があると彼の年代記の作成を志したのがこの本を著すきっかけである。2024/04/22
TAKU
0
読みやすいんだか、読みづらいんだが。 マレーの虎、名前だけは知っていたが・・・・・2014/06/13