内容説明
「人生意気に感ず、功名誰か復た論ぜん」教育者・漢学者が『大漢和辞典』と共に歩んだ人生。
目次
前編 少壮時代の思い出(生家渡部家の家系;少年時代の思い出;馬陵健児時代の思い出;茗校に学ぶ;桐陰育鳳の思い出)
後編 『大漢和』六十年の苦楽(北支における戦い;戦傷死の誤報;『大漢和』の惨禍と不撓不屈の再建;『大漢和』の修訂;『大漢和』の補巻 ほか)
著者等紹介
鎌田正[カマタタダシ]
財団法人斯文会名誉副会長
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感想・レビュー
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4
日本が世界に誇る大漢和辞典。その著者である諸橋轍次先生の片腕として編集作業に初めから携わった著者の自伝。諸橋先生の辞典に注ぐ情熱と、それに答える大修館書店鈴木一平社長の心意気がよく伝わった。いい辞典を世の中に出すのが使命だといわんばかりの出版人、文化人としての社長の魂に、売れる本しか出さない出版業界の現状を嘆いてみたくなる。師と弟子(著者)の心のこもった交流が手紙を通してもよく伝わる。あれほどに自由自在に漢文を操れる人は、今ではもはや稀有であろう。格調高い漢文に教養人とはこういう人なのだと考えさせられた。2012/04/18