内容説明
扶鸞(ふらん)―それはいわゆる「自動書記」現象を利用した中国伝統の交霊術である。「こっくりさん」の中国版ともいえる扶鸞は、しかし日本の「こっくりさん」とは比較にならぬほど長い歴史を持ち、華人社会において今もなお人々の篤い信仰を集めている。香港・台湾におけるフィールドワークを軸に、その歴史的展開にも触れながら、人々の心を惹き付けてやまない扶鸞の魅力の謎に迫る。
目次
第1章 扶鸞とは(扶鸞の方法;扶鸞の原理)
第2章 香港の道壇と扶鸞信仰(扶鸞との出会い;香港の道壇 ほか)
第3章 扶鸞信仰の歴史(扶鸞儀礼の変遷;扶鸞信仰の諸相 ほか)
第4章 扶鸞と近代中国(清末の扶鸞結社運動;民国期の新宗教運動 ほか)
第5章 華人社会に広がる扶鸞結社(台湾の扶鸞結社;東南アジアの扶鸞結社 ほか)
著者等紹介
志賀市子[シガイチコ]
1963年、東京都生まれ。1986年、慶応義塾大学文学部卒業。1997年、筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科文化人類学専攻修了。文学博士。滋賀県立大学、東京成徳大学を経て、現在、茨城キリスト教大学助教授
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感想・レビュー
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まんたろう
1
自動書記を利用した中国に今も残る交霊術・扶鸞にまつわるフィールドワークや歴史的展開についての本。 年明け香港行くので気になっていたのを買って読んだ。 特に印象に残ったのは、正妻の嫉妬からいじめられて自死した女性である紫姑神を迎える風習を起源としていたものが、宋代以降、科挙の加熱により神頼みする男性知識人が担い手になることで、現代へ続く形に変わっていったところ。 そういった点から、中国本土で取り締まられる様になったのち、他国の華人社会で現地文化と融和しながら存続している東南アジアの扶鸞の話も面白かった。2018/11/04
椿
0
流し読みです。 扶鸞という自動筆記を用いる中華圏の占いについての本です。 作者のフィールドワークエピソードが面白かったです。2024/08/29
Sensyuraku
0
香港をメインにした、中国の自動筆記文化についての本。降りてくる神様の歴史的変遷と需要層の変化、トランスに入るタンキーとの違い、などなど興味深い。2019/01/07