内容説明
三千年前の中国を舞台に、太公望や傾国の美女・妲己ら歴史上の人物をはじめ仙人・妖怪が戦いを繰り広げる古典小説『封神演義』。今も中国社会に大きな影響を与え続けるこの奇書のルーツと登場する神々の由来を探り、知られざる意義を明らかにしてゆく。
目次
第1章 『封神演義』はどのような小説か?(『封神演義』のストーリーについて;紂王と妲己―あらすじ ほか)
第2章 『封神演義』の成立(『武王伐紂平話』と『春秋列国志伝』;『伐紂平話』の概略 ほか)
第3章 戦う神々の由来
(『封神演義』の真の価値?;『封神』と宗教文化 ほか)
第4章 明代神怪小説の世界(明代神怪小説の特色;『八仙東遊記』―八人の仙人 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫羊
19
「封神演義」の作り手のいい加減さへの手厳しい評価(本書を読めば納得)がこれでもかとばかりに繰り返される。にもかかわらず、というか、それゆえにというのか、著者の深い封神演義愛を感じた。個人的には、伯邑考の肉団子のくだりが悲しかった。2017/07/17
ettyan えっちゃん
7
確かに,著者は詳しいのだろう。でも,他の作者に文句を付けたり,そもそも小説としての作品を創作が多いだの,漢字の読み方が違うだのとこきおろすのは,読んでいてとても不快。封神演義に対しての愛が深い故なのだろうが,学者が,小説家をああでもない,こうでもないと書くのはいかがか。最近,この著者の完訳の封神演義がとんでもない値段(上中下で1万超え)で出たが,まあ,これだけ古い伝承みたいな話を何をもって完訳とするのか。どこを底本にしたのか。そもそもそこを前半に散々とくさしているではないか。2018/01/10
Ecriture
6
『封神演義』の成り立ちや世界観について知ることができる。様々な時代の神々を一度に登場させるハチャメチャな設定や、史実との差についての話が興味深かった。天始源尊・太上老君>仙人(道術)>神の順に偉くて、封神榜に載ってる人は神に奉じられる。明らかな悪人が神になることについては謎。それとも1500年周期の仙人の殺しのカルマ消化のための生贄みたいなものとして解釈していいのか。各登場人物の絵も出てくるけど哪吒とか雷震子がおっさんでかわいくない。史実と違うとか矛盾があるとかで作品に優劣つけることには辟易した。2012/06/28
GEO(ジオ)
5
中国文学を専門とし、『三国志演義』の版本の研究などで知られる二階堂先生の『封神演義』解説。『封神演義』がいかに素晴らしい文学作品なのかを語る……かと思いきや、『封神演義』がいかに「二流」の残念な文学作品なのかを語るというwwwwww 『三国志演義』のような小説を志した節はありつつも、作者の歴史考証や知識が不足しており、かといって『西遊記』のようにつきぬけた創作でもない中途半端な作品だとかwww 『封神演義』に登場する中国の神様たちのお話は、かなり特殊なので、他の神話も知らないとよさがわからないとか。2016/09/03
遊未
4
「封神演義」は中国版壮大なるSFというところでしょうか。その登場キャラについて元のお話や歴史上実在の人物であるが、時代が違ったり、道教、仏教の本来の立ち位置が述べられています。 内容がそのまま受け入れられることを危惧されています。 アニメ化もされていますから、どのくらいの人が気にしているでしょうか? とりあえずは思いっきり楽しみたい物語かと思います。2018/06/12
-
- 和書
- 入門生化学