内容説明
だれでも知っているかぐやひめの物語。だが意外なことに竹取物語は昔話にはならなかった…。竹取物語のルーツを探る!昔話の世界を読み解きながら竹取物語の謎に迫る、『かぐやひめの文学史』。
目次
1 昔話の世界(昔話とは何か;昔話は変容する;昔話の変わらぬ部分;昔話と世界観;外来昔話の変容)
2 語られざるかぐやひめ(『竹取物語』と昔話;竹取説話と『竹取物語』;竹取説話と輪廻転生譚;『竹取物語』と天人流謫譚;かぐやひめの文学史;『竹取物語』のルーツを探る;流謫の思想と日本人)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
misui
4
「なぜ竹取物語は昔話(口承文芸)として広く流布していないのか」を構造に注目して読み解く試み。外来のものである天人流謫の思想は日本の風土に馴染みづらく、それゆえ竹取物語は仏書漢籍に通じた知識人の創作なのではないかと結論づけている。また、垂直的な流謫の思想が馴染みづらいのは日本人の水平的宇宙観によるという考えを仮説として提示する。前半、昔話の構造とその背後にある論理について述べた部分がためになった。異文化が流入した場合、要素とともに構造も受け入れ側に合わせて変容する。2011/06/26
秋津三郎
2
730 竹取物語を読んでいて、姫が犯した罪とは何なのかが気になって読んでみた。著者によると、竹取物語はインドからやってきた天人流謫伝の型らしい。インドでは、天人自身がどんな罪を犯して、どうすれば天上界に戻れるかが示されるが、竹取ではそこが省略され、代わりに残された者の深い悲しみが描写されている。罪が具体的に描かれなかったのは、日本では異界は水平方向に広がっているため、垂直方向の流謫の思想がうまく伝わらなかったためだろう。そして、結末の部分が幸福でないのは、「あはれ」を表現する日本的アレンジだったのでは。
海野
1
竹取物語は物語構造がいびつであり、しかしそれが故に昔話として一般化せずに今に至るまで受け継がれている。 では何故そんな竹取物語が成立するに至ったのか、を海外の様々な文献と照らし合わせ探っていくのがこの本。 前半はフォークロアの基礎知識みたいな内容で自分は読み飛ばしたが、こういったものに初めて触れる人には良いかも。2013/12/20
チャーリー
0
流謫という言葉を初めて知った。天人流謫ははるか古代インドの思想だとか。それにしても竹取物語は昔話にはならないとか。どうもつかみづらいままである。2016/03/20
月水 ゆき
0
最初の方はなるほど!と思うけどだんだんこじつけっぽく感じてしまった。