出版社内容情報
約200年前、北米大陸の5分の1をカバーする精緻な地図を製作した、測量士・トンプソン。この傑出した人物に光を当てる初の書。
内容説明
苛烈な気候と原野が開拓者たちを阻んでいた時代のカナダ、濁流を渡りロッキーを越え、正確無比な地図を作った男がいた。差別されていた先住民と親しみ、混血の妻を迎え、彼らに導かれて、ほぼ全土を測量。その地図はアメリカとの国境画定にも使われた。夢追い人と呼ばれた生涯を、カナダの歴史とともに語る。
目次
第1章 探検家を夢見た少年
第2章 おとぎの国の奉公人
第3章 夢砕く苦境を超えて
第4章 毛皮の宝庫への道
第5章 迷える測量士
第6章 本物の地図を求めて
第7章 シャーロットと共に
第8章 争乱の分水嶺
第9章 驚異の地図職人
第10章 不遇の晩年
第11章 よみがえる夢追い人
著者等紹介
下山晃[シモヤマアキラ]
1954年生まれ。大阪商業大学総合経営学部教授。奴隷制度史とアメリカ商業史および商品の文化史を研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひさしぶり
19
カナダの国宝となっている今から200年前の地図。ディヴィッド・トンプソンという人物。 イギリスの極貧のスラム街の母子家庭に育ち14歳から祖国を離れ、事故により片足不自由で片目を失明し、偉業はアロースミス氏に奪われた不遇の晩年の後墓碑銘のなく生涯を閉じた。没後JBティレル氏により北米大陸の1/5を踏破した偉業が明かされる。新大陸における毛皮取引等、酒と銃により先住民族を支配下においた当時の開拓事情も彼の稀有な人生と共に知る。ちょっと感動の本だった。2022/02/12
スプリント
11
あまり世に知られていないカナダの測量で功績を残したトンプソンの伝記です。不運にも見舞われ波乱万丈の人生だったことがわかります。2021/08/14
じぇろポーta
2
いやぁすげえ人物がいたものだ。片目片足に障害を負いつつ「北米大陸のおよそ五分の一」を踏破し正確無比な地図を作ったトンプソン。本人もすごいが結婚以来夫の測量・探査行に常に同行した妻シャーロットの根性にも驚く。功績が認められた今日では様々な肖像画や記念像が作られているが、本人たちは肖像画や写真を残しておらず、知人らの回想等を基にした想像図というのが少し寂しい。「フロンティア」時代の北米の毛皮貿易会社が悪辣だったのは多少知っていたが、こりゃ酷い。挙句に貿易利権を巡って会社同士で武力衝突までするし…。2022/09/08
北区のまき
2
泣いちゃった、、、貧困誠実な測量士の偉業を横取りしたのはアーロンアロースミス。ワンピースのアーロンの由来はコレからか。そして測量士死後何十年も経ってからやっとやっと日の目を見るんですよ。そして日本人がこの測量士を紹介する本を書いて2022年に私が知るという、、 彼等を尊敬します。2022/01/16
ヨシモト@更新の度にナイスつけるの止めてね
2
まずは、驚異的な仕事をしたにもかかわらず、存命中から極貧に甘んじ、剽窃され、忘れ去られたデイヴィッド・トンプソンという稀有な人物がいたこと、それが後世の別の人物によって「発見」され、再評価されたことを言祝ぎたい。毛皮史を追い続けた日本の下山晃氏は、研究の過程でトンプソンの偉大さに感じ入り、同時にあの時代から現在もさほど変わらぬカナダの先住民蔑視に義憤をもって、時おり言葉激しく弾劾する姿勢を崩さない。松浦武四郎がトンプソンと会ったら、さぞや話が弾んだことだろう。2021/10/27
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