出版社内容情報
今や世界各国で遊ばれる麻雀。その起源と、それぞれの国特有の「麻雀」になっていく課程を探る。貴重な文献や写真多数掲載!
大谷 通順[オオタニミチヨリ]
内容説明
本書では、わたしたちが知る「麻雀」が、いつ、どこで、どのように誕生したかを探りました。「ポン!」「チー!」という中国風のかけ声、牌の表面に彫り込まれた漢字と神秘的な文様…あたかもはるか昔から存在していたゲームのように錯覚していませんか?ところが、その歴史は意外に浅く、わずか90年前にはその呼び名さえ定まっていなかったのです…。中国・アメリカ・日本に眠る貴重な資料を掘り起こし、「麻雀」誕生の真実にせまる、初めての試み!
目次
序章 よび名と、それが示すもの(「マージャン」への統一;中国における呼称;誤認された麻雀;絵画にみる麻雀)
第1章 社交の麻雀(アメリカの熱狂;一九二二年―ブームの発火点;ルーズなタイトル?)
第2章 麻雀の核心(麻雀テーブル;特徴はポン;ドミノの「〓(ほう)和」)
第3章 租界が彩る麻雀(プレーの情景;麻雀と伝説)
第4章 麻雀の起源(記号の変容;変わり種牌;遊戯法の特徴)
著者等紹介
大谷通順[オオタニミチヨリ]
1956年生れ。中国文学者。北海道大学大学院文学研究科博士課程中退。北海学園大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きいち
31
わからないことはしっかりわからないと言ってくれることって気持ちいい。中国文学者が前史を丁寧にたどる麻雀の歴史。なんと、索子は紐に銭を通した形だったとは!清代の都市で遊ばれた中国式ドミノやカードゲームが租界、アメリカ、日本を通して一つの体系になっていく様。遊郭の一室での点数計算がリアル。代走がすでにあるのも面白い。◇1920年代、以前に読んだ、寄席からの漫才の誕生や新聞紙上での風刺絵からのコママンガの形成とかぶる。近代社会の成立史だ。◇なんで白發中なのかとか、東南西北なぜ逆回りなのかとか、謎はまだまだ残る。2017/01/22
らむり
24
いらない内容が多かったような。。2016/09/17
どらがあんこ
9
麻雀そのものの話というより麻雀をめぐるものの話。麻雀の近代、というところか。ネット麻雀の普及によって麻雀のこれからどう変化するのか気になる。2020/12/27
さとうしん
7
麻雀の中国での源流、アメリカでのブームと規格化、日本での受容と紹介など、委細を尽くした解説となっている。「筒子」「索子」「万子」のデザインがすべて銭に由来すること、夏目漱石『満韓ところどころ』の、現地での麻雀遊びに関するものとされる記述が、実は今で言う麻雀ではないのではないかというツッコミなどが個人的な読みどころ。2016/09/21
烟々羅
5
中国語の文献(小説にでてくる文化風俗)や日本に入るまでの経由地アメリカの文献(主に玩具会社各社の宣伝文)に当たった日本初の文献。 現地の文献が入手困難だったマイナージャンルは、初期に日本に紹介、輸入した人の勘違いが長期間、孫引きされ続けるのはどの分野も同じだと「タロット図象学」を思い出し比較していた。タロットの木星王氏に当たるのが井上紅梅氏(1920頃)か。 本書刊行2016年、日本に紹介される前の伝統古典ルールなんてなかったと説かれ。関連不明だが6年経ち後独自ルールや変わりルールの発言権が強くなっている2023/03/27