目次
第1章 語用論とは何か(「文」と「発話」;三つの「意味」;語用論の目標)
第2章 関連性理論(発話・推論・コンテクスト;関連性の原理;関連性の原理2;「伝達」とは何か?;明意と暗意)
第3章 言語科学中での関連性理論(関連性理論と言語形式;関連性理論とレトリック;関連性理論と意味論;生成文法との関係)
第4章 語用論の諸相(語用論略史;発話行為理論;グライスの語用論;「機能的」言語理論)
第5章 語用論のこれから(関連性理論の課題;“産出”語用論の可能性)
著者等紹介
今井邦彦[イマイクニヒコ]
昭和9(1934)年東京生まれ。東京大学文学部英吉利文学科卒。文学博士。学習院大学文学部英米文学科教授。東京都立大学名誉教授。主な編著書に『チョムスキー小事典』(大修館書店)、『大修館英語学事典』(共編:大修館書店)『英語の使い方』〔テイクオフ英語学シリーズ〈4〉〕(大修館書店)、『言語の科学入門』〔岩波講座 言語の科学〈1〉〕(共著:岩波書店)、『一歩すすんだ英文法』(共著:大修館書店)、Essentials of Modern English Grammar(共著:研究社出版)。主な訳書に『認知科学への招待』(J.ライバー著:新曜社)、『知のしくみ』(J.カルファ編:新曜社)
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感想・レビュー
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Nobu A
6
今井邦彦著書2冊目。01年刊行。20年以上も前の著書で知見は新しくないが、語用論入門書なので問題はないだろう。意味論のある意味対極にある語用論。オースティンの発話行為論やグライスの語用論等、大学院時代に学んだことを思い出した。統語論や意味論のようにある程度整然と解析できる領域でない語用論。長らく「言語学のゴミ箱」とも称されてきた。もしかして今でも?最近の語用論はどこまで進展しているのだろうか。ただでさえ煩雑な領域、これ以上複雑なると理解が難しいようにも思える。そんなことを考えた一冊。ざっと流し読み読了。2024/03/23
御光堂
1
内容は結構高度だと思うが、わりとくだけた語り口で読み易い。この本で解説されている関連性理論という理論は、あくまでも聞き手側の解釈に関する理論なので、話し手が言葉をどう使うべきかということについては、直接的には何も語っていないようだ。話し手が一見、不適切なことや関係ないことを言っているようでも、聞き手はそこから現在の話題や状況などの文脈との関連性を見いだし、なぜそう言ったのか考え、話し手の言いたいことを解釈していくとする。