出版社内容情報
【第2回ハナショウブ小説賞 opsol部門大賞受賞作】
走り、立ち止まり、立ち止まり、走る。
そうして日々は、進んでいく。
心も身体も、限界だった。
ハードワークが原因で体調を崩した宮沢祐介は、三十歳を前にIターン転職を決意。生まれ育った東京を離れ、限界集落とも呼ばれる場所で、移動スーパー「茜号」を走らせている。
複雑な家庭に育ち、かつての恋人とはうまく付き合うことができなかった。過去の経験から、つい人との距離感に慎重になってしまう祐介だったが、茜号を通して繋がる町の人たちとの出会いが、深く傷ついた心を静かにほどいていく――。
“変わらない現実”の中で“変わる心”を描く、再出発の物語。
人生は、そう簡単には変えられない。
それでも、偶然出会ったこの場所で、俺は確かに救われたのだ.
【目次】
なみさんの梅干し
恐るべき公民館前の乙女たち
茂さんのカータルボレ
優しい気持ち