内容説明
孤高の山岳画家・坂本直行はどのようにして生れたのか。坂本龍馬の直系である坂本家は、北海道開拓使として明治30年に移住してきた。明治39年に生を受けた直行は、幼少期を釧路と札幌で過ごし、青年となるや父親の静止を振り切って原野の開墾へと乗り出してゆく。家の中に雪が積もるようなあばら家で、妻のツルとともに農業に取り組む直行は、何を思い、何を希望としていたのだろうか。遺された坂本直行の資料と、様々な取材を経て綴られた、坂本直行伝をご堪能いただきたい。
目次
祖父坂本直寛の生涯
少年期
北大時代
父との確執と新天地
新天地での生活
生涯の伴侶との出会い
自立
開拓地の生活
子どもたちの成長と苛酷な自然
ペテガリ岳の遭難とサイロの建設
農民運動の発芽と大凶作
新居の完成
農民運動への傾倒
父弥太郎の死と子どもたちの独立
峯孝と小田豊四郎との出会い
開墾地からの撤退
終焉
著者等紹介
滝本幸夫[タキモトユキオ]
1936年岩見沢市生まれ。現在、日本山岳会会員。深田久弥の山と文化を愛する会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あじ
23
坂本直行氏に関して私が知っていた事と言えば、坂本龍馬氏の直系であり【六花亭】の包装紙を手掛けた方だということだけ。氏の晩年しか知らなかったので、この伝記を固唾を呑む連続で読むことなるとは思いもよらなかった。氏の生誕百年を祝う記念事業で、記念館に行かなければ手に入れられない出版物であった本書が、有志の尽力で今年出版された。あとがきを読み新田次郎氏が存命であったならば…と思う一方で、本書の著者である滝本氏が引き継いでくださって感謝だ。入植後の30年に及ぶ苦難の開墾時代、坂本氏とご家族の掌の厚さと年輪を偲ぶ。2024/08/09