内容説明
両親の離婚で、昔暮らしていた場所に引っ越してきた奏音。新しい生活を始めた彼女が出会ったのはかつての幼馴染たち。けれど、幼馴染との関係性は昔とは少し変わってしまっていた。どこか孤独を感じていた奏音の耳にふとピアノの音が飛び込んでくる。誰も寄りつかず、鍵のかかっているはずの旧校舎の音楽室。そこでピアノを弾いていたのは、隣の席になった芹生誠。聞いていると泣きたくなるようなピアノの音に奏音は次第に惹かれていくが―。不器用で、失敗だらけの人生だって、いつか美しい音に変わる。思わず涙零れる優しくて温かな青春ストーリー。アルファポリス第6回ライト文芸大賞青春賞受賞。
著者等紹介
佐々森りろ[ササモリリロ]
岩手県出身。アルファポリス第6回ライト文芸大賞で『春の真ん中』が青春賞を受賞し、デビュー。本職の傍ら執筆する二刀流(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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木立花音
7
鈍感で不器用な奏音ちゃんと、優しい友人たちが織り成すハートフルドラマ。 主人公はなかなかに鈍感で、気付けー!と叫びたくなること数回笑。 思春期らしい不器用な恋心とか、些細なことで不安になる気持ちは、けれどわかるなーという感じでした。 個人的に好きだったのは夢香ちゃん。初見のイメージはあまり良くなかった彼女ですが、打ち解けてからはたぶん主人公にとって一番の理解者だったし、そのひたむきさが純真で良かったです。2024/05/19
ジジ
6
両親の離婚で母方の祖母の家に引っ越したヒロインの奏音。 転校先の高校で出会ったのは、カノンをピアノで弾く同級生の男子、芹羽。 悩みを持つ2人が出会い、それぞれの悩みに向き合いながら、高校生活を送る、青春の物語です2024/05/06
紫音みけ
5
心に傷を負った少年少女が出会う青春恋愛もの。人間関係や恋心に揺れる思春期の心情が優しげな文体で描かれている。最終的には全登場人物が愛おしくなった。読後は温かな気持ちになれる優しいお話。2024/04/17
遠宮にけ❤️nilce
4
親の離婚で母と子供の頃に暮らした街へ戻ってきた奏音。幼馴染の恭ちゃんとの関係をなんとなく周囲から固められているような窮屈さを感じるの、わかるわかると思いながら読み進めました。それにしても恭ちゃんいいやつ!!罪作りだけど……。 飛び交う周囲の気持ちの交錯に疲労する奏音の前に現れた不思議男子芹羽。奏音にはミステリアスに映るも、実は傷つきやすく純粋な心の持ち主。庇護欲くすぐられるかも。 互いの傷を補い合うように共鳴し合う二人を、誰も止められない! 全くタイプの違う個性的な女の子たちの関係性も見どころです。 2024/07/03
蜂賀三月
4
大人になりきれない複雑な時期とその悩みをしっかりと描いている作品でした。登場人物たちの成長と作者の文体が相まり、とても美しい物語になっていました。恭太や夢香が特に魅力的で、読者を物語にぐっと引き込んでくれる存在になっています。面白かったです!2024/04/20