内容説明
“FINAL CURTAIN”(1947年)は、ロデリック・アレン警部をフューチャーしたシリーズの第14作。前半はアレン警部の妻トロイの視点でアンクレトン館の様子と事件の推移が描かれる。アンクレトン館の人々のやや異様とも思える人間関係の微妙な均衡が崩れ、まるで運命に導かれるように悲劇的な結末へと進んでいく。アレン警部は丁寧な聴取を重ね、ついに驚くべき真相にたどり着くのだが…。英国女流推理作家“ビッグ4”の一人、ナイオ・マーシュのベストとの呼び声も高い傑作、ついに初邦訳!
著者等紹介
マーシュ,ナイオ[マーシュ,ナイオ] [Marsh,Ngaio]
1895~1982。ニュージーランド出身の女性劇作家、演出家、推理作家。1934年に出版した長編推理小説『アレン警部登場』で作家デビュー。1967年には、大英帝国勲章を授与され、デイム(大英帝国勲章を得た女性に対する尊称)の称号を得た。1978年にはアメリカ探偵作家クラブの巨匠賞を受賞。ナイオ・マーシュは英米ではアガサ・クリスティーやドロシー・L・セイヤーズ、マージェリー・アリンガムとともに英国女流推理作家「ビッグ4」と称される当時を代表する本格推理作家の一人である
松本真一[マツモトシンイチ]
1957年生まれ。上智大学文学部卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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翠埜もぐら
16
演劇に深く携わったナイオ・マーシュのミステリー。今回は演劇そのものではなく往年と言うより過去の栄光にしがみついてまわりを振り回す元老俳優の毒殺死。アレン警部の奥様トロイが前半の主役で、大戦をはさんで数年ぶりの再会と言う設定でした。あからさまに怪しい人はいるにはいても、決定打にかけて悩んでいたのですが、思いもよらない人が犯人でした。いや動機から言ったら有力候補だったのに、他のキャラの際立った人物描写に惑わされました。マーシュって詳細な「前置き」がうますぎますね。2025/02/18
UPMR
4
マーシュ作品の中ではいちばん良かった。唯一最後まで犯人の目星がつかなかったし。事件が起こるまで少しかかるし、起きてからも捜査に発展するまでラグがあったりして少々じれったいのだが、感情豊かなアンクレット家の面々の個性はよく際立っていて、一族を支配する老当主に、玉の輿狙いの若い愛人、それに反感を抱く親族たちというベタだがドラマに満ちた構図は波乱のある展開をちゃんと生み出しており、退屈しない。↓2023/12/14
fang_beast
2
前半はアレン警部の奥さんであるアガサ・トロイが活躍。後半は三年半振りにニュージーランドから帰国したアレン警部に主役を譲る。2024/08/16
ヨッシー
2
新刊29冊目2023/08/28