感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
17
チベット語で書かれた現代詩の翻訳としては初の邦訳詩集。一般女性がものを書くという伝統も文化もなく、男性中心の社会だというチベットで、女性の詩人や医師が地歩を築き自己表現をし始めたことに同じ女性として尊敬の思いを抱いた。女性の妊娠が「穢れ」と考えられてきたチベットで、妊娠から出産までの女性の複雑微妙なしかし普遍性のある気持ちを詩にしたデキ・ドルマや、男性に都合のいい女性であることへの拒絶を表現した詩「わたしに近寄るな」を書いたホルモなど、これまで言葉で表現されることのなかった女性たちの思いが詰まっている。2025/06/18
kenitirokikuti
8
図書館にて。2023年刊行。このところ漢詩(史)を学んでいるので、あまり関係なさそうだが、このチベット女性詩集を借りた▲さすがにチベットの韻文などは理解が及ぶわけもないので、状況説明コラムが興味深かった▲比丘尼サンガについて。中国仏教界には正式な女性の僧が存在するが、根本説一切有部律の流れを組むチベット仏教やテラワーダ仏教では比丘尼サンガが途絶えていた。その後スリランカでは上座部の比丘尼サンガが復興したが、チベットではないまま。そのかわりにゲシェマ(女性仏教博士)制度ができた。2024/02/01
ayano
0
詩を味わうには、もっと時間をかけて読んだ方がいいのかもしれない。背景解説のコラムが興味深かった。何であれ、男中心社会からの脱却はひとすじなわではいかない。2023/08/23