出版社内容情報
筑前助広[チクゼンスケヒロ]
著・文・その他
内容説明
江戸は谷中で用心棒稼業を営み、「閻羅遮」と畏れられる男、萩尾大楽。家督を譲った弟が脱藩したことを報された彼は、裏の事情を探り始める。そこで見えてきたのは、御禁制品である阿芙蓉(アヘン)の密輸を巡り、江戸と九州の故郷に黒い繋がりがあること。大楽は弟を守るべく、強大な敵に立ち向かっていく―閻魔の行く手すら遮る男が、権謀術数渦巻く闇を往く!第6回アルファポリス歴史・時代小説大賞特別賞。
著者等紹介
筑前助広[チクゼンスケヒロ]
2020年、『それは、欲望という名の海』でアルファポリス「第6回歴史・時代小説大賞」特別賞を受賞。改題し出版デビューに至る。「時代小説にこだわり、時代小説にとらわれず」をモットーに、愛する時代小説に情熱を注ぐ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やま
62
① 谷中の用心棒、萩尾大楽(だいがく)の活躍の物語です。萩尾大楽は、江戸は谷中で百戦錬磨の用心棒集団である萩尾道場を営んでいる。大楽は、徳川家康の血を引く筑前国斯摩(しま)藩十万石の藩主家御一門筆頭である萩尾一族の嫡男であったが、十三年前に父・萩尾美作の命を狙った柘植小刀太を斬って脱藩した。その後、許されたが異母弟の主計(かずえ)に家を継がせるために帰らなかった。大楽は、閻羅遮(えんらしゃ)と呼ばれている。それは、谷中で非違を犯せば、たとえ相手が閻魔であっても行く手を遮る男と言う意味です。→2023/03/10
海猫
56
江戸は谷中で用心棒家業を営む男、萩尾大楽。家督を譲った弟が脱藩したことを知り、裏の事情を探り始める。見えてきたのは阿芙蓉(アヘン)密輸を巡る黒い繋がりだった。みっちりと書き込まれた密度ある文章で内容も濃く、文庫一冊でどっしりした手応え。時代小説として堂々たる仕上がりであるが、それだけではない。次々と現れる癖のある人物たちと大楽が渡り合う様は、欧米のハードボイルドを連想。麻薬密輸を追い詰める展開はノワール風でもある。主人公が捨てたはずの過去と向かい合う後半は、大いに情動を揺さぶられた。大楽の人物像も魅力的。2023/01/19
巨峰
43
閻魔大王も遮る用心棒萩尾大楽。その彼が、故国に残した弟を巡る政争に巻き込まれ。。2転3転するストーリー、一癖あるキャラクターたち、剣闘シーンと素晴らしく、読み応えのあるデビュー作でした。2025/05/05
サケ太
20
骨太時代小説。谷中で用心棒組織を営む萩尾大楽。彼が捨てたはずの過去が絡み、多くの思惑の渦中に放り込まれる。戦いに次ぐ戦い、仲間の、弟の屍を乗り越え、戦い続ける男。ハードボイルドな男の姿が非常に格好良い。直球な時代小説に打ちのめされた。2022/02/17
Mc6ρ助
17
読み友さんの感想から。久しぶりの血湧き肉躍る波乱万丈の物語にしてチャンバラ小説。なろう系侮るべからず。余りに死んでいく人が多くてそのままでは続編があり得ない(別の物語になってしまう)のが残念だ。吉宗の孫といわれても今は冨永愛の顔しか出てこないのは別の話だね。『武士には義務がある。それは弱き者を守る事だ。武士が米も作らず二刀を差して偉そうにしているのは、いざという時に戦わなければならないからだ。でなければ、ただの穀潰し。 (p120)』ノブレス・オブリージュ、どこかの国の政治家たちに煎じて飲ませたい。2023/02/06