内容説明
一番恨んでいたのは誰だ?己の欲望を満たすために、他人を利用してきた人間を中心に、人間ドラマが複雑に絡みあう、医療ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小春日和
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携帯やパソコンのない時代の遠距離恋愛の破局、とくに女性の不安、別れの決断を巧く書いている。認知症患者と診察する医師の立場で再会する双方のやりとりに感動した。一見、幸せそうに見える人が過去を背負って生きている人物像がいい。ミステリーの最後には、現代の世相を反映しているとはいえ、衝撃を受けた。よくもまあこんなことを考えついたと思う。東大などは経済的に恵まれた家庭の子女が多いと聞くが、金のない家の子供は、これを司法試験に絡め社会的批判している。新聞の批評、若狭勝弁護士の推薦がわかる。読んでよかった一冊でした。2021/04/23