内容説明
この巻は般若心経の解釈でも、空を説くのでもない。『心経』の無眼耳鼻舌身意、無色声香味触法の「無」をとって、上座部および大乗の教学範疇を認め、経を大切にし、敬礼という敬虔な態度を説く。また如浄の頌によって、虚空に掛る風鈴のように、入ってくる色声香味触を、取捨選択なしにそのまま受け流す坐禅を称え、その坐禅こそチリンチリンと鳴るような無上の説法であると示す。諸解釈を詳細に吟味し、「摩訶般若波羅蜜」の真意を読み解く。
目次
1章 般若心経の道元による解釈(五蘊は般若 観自在菩薩の行深…万象なり。;般若心経の無を取った諸範疇はそれぞれ般若 般若波羅蜜十二枚…苦・集・滅・道なり。;大乗などのそれぞれの範疇は般若 また六枚の般若あり…行・住・坐・臥なり。)
2章 大般若経・著不著相品の道元による解釈(敬礼と施設可得 釈迦牟尼如来会中…微妙難測の般若波羅蜜なり。;虚空 天帝釈問具寿善現…虚空は学般若なり。;守護般若 天帝釈復白仏言…欲守護は、受持・読誦等なり。)
3章 先師如浄の風鈴頌(風鈴頌 先師古仏云…渾東西南北般若なり。)
4章 大般若経・隨喜迴向品の道元による解釈(仏薄伽梵は般若 釈迦牟尼仏言、舎利子…奉覲承事の仏薄伽梵なり。)
著者等紹介
松岡由香子[マツオカユカコ]
1945年静岡県生まれ。京都大学文学部博士課程満期修了。日本キリスト教団牧師。現在、山水庵で日曜礼拝と月一回の坐禅会を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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