内容説明
21世紀を生きる私たちはゲゼルの思想から何を学ぶことが出来るのか?ゲゼルの生涯とその時代、減価する貨幣の実践方法と効果、そして自由貨幣のその後の動きからゲゼルの可能性と限界を探る。
目次
第1章 シルビオ・ゲゼルとその時代
第2章 自由土地と母親年金
第3章 現在の通貨制度とその問題
第4章 減価する貨幣とは何か
第5章 自由土地や自由貨幣をめぐるその後の動き
第6章 まとめ―私たちに残された課題
著者等紹介
廣田裕之[ヒロタヤスユキ]
1976年、福岡県生まれ。九州大学文学部卒業後、東京大学大学院総合文化研究科修士課程を経て、立命館アジア太平洋大学大学院博士課程を単位取得退学。補完通貨研究所JAPAN創設者。現在、スペイン・バレンシア大学留学中で、同大学社会的経済修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shohei Ito
5
お金はモノとの交換手段として使われています。しかし、モノとは違いお金は価値が変わることがないために問題が生じているというのが、減価する貨幣の考え方の起点となっています。 本来は交換手段として流れていかなければならないのに、価値が変わらないので貯めることができる。結果、お金を多く持つ人が力を持つようになる。それならば、価値が減っていくようにしてどんどん流通させようという考えは分かります。ただ、消費を促しすぎて不要のものまで買ったり、多くを所有することが善となるような世界になってしまわないか疑問に思いました。2021/01/17
yutaro sata
2
エンデさんからこの人のことを知り、読んでみたんです。結構面白い。実現可能かどうかはよく分からないのだけれども。2022/04/24
M氏
1
面白かった。経済学部とかで経済原理・地域通貨の入門書としても読めるのでは。 19-20世紀初頭の実業家兼経済学者による社会・経済システムの分析、問題と解決策の解説本。「保持すると価値の減る通貨」による金利の撤廃、社会還元の提言が、そのまま実行に移せる訳ではないけれど、思想とアイディアは電子マネーやブロックチェーンなどのテクノロジーによって形を変えて取り込んでいけると思う。現代こそ通貨の本質的な矛盾を活かせるよう転換する良いチャンスかも? ピケティも読んどいた方がいいかなー。2017/03/26
ニック
0
お金について、インフレ、デフレ、金利など理解を深めることができた。お金の仕組みを知り、今後どのような通貨制度が必要なのか考えるきっかけとなった。 電子マネーをもっと普及させて、日本の各地域で減価する貨幣の実現をして欲しい。2020/11/14
puapua
0
金利が消失する世界や環境債といった資金使途が決められている債券の登場など、形は違えどゲゼルが思っていた世界に近づいてきているような気がする。ゲゼルも指摘するように、電子マネーが広く普及すれば、お金に色をつけることや減価するお金を登場させることも可能になるのかもしれない。これだけの金余りでもインフレにならないのだから、ゲゼルが主張するように、何らかの形でお金の流通速度を上げる必要があり、減価するお金はなるほど確かにいい案だとは思う。2020/10/14