内容説明
エキナカ書店でバイトを始めた大学生の渡鍋渉は、閉店後の店内で奇妙な光景に出くわしていた。『夜だ夜だ!我らの時間じゃ!』身長十数センチていどのフィギュアのような連中が店内を大挙して走り回っていたのだ。困惑した渉は隣にいる美人書店員(重要)の竹河紫野に何事か尋ねる。「本のゴースト…本に込められた“想い”が形になったものです。渡鍋さんにはこれからやることを手伝って欲しいんです」「手伝いって、何を…」「平台争奪戦を」本の想いである“自分たちが売れる=読んでもらえる”を少しでも叶えるために深夜の本屋で行われている「平台争奪戦」。平台という書店でのスポットライトを浴びられる場所を確保するためにゴースト(=本)たちは戦う。それは本自身による場所取り合戦であった。
著者等紹介
藤春都[フジハルミヤコ]
『ミスティック・ミュージアム』で第2回ノベルジャパン大賞佳作受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よっち
22
エキナカ書店でバイトを始めた大学生の渡鍋渉が、閉店後の店内で平台争奪戦を行う本たちのゴーストに遭遇し、美人書店員の竹河紫野とともにそれに対処する物語。これまで一人で織田信長やホームズのような姿を模したフィギュアたちの場所取り合戦に振り回されてきた紫野。ほのかな想いを抱く彼女を助けつつ、フェア企画、夏の百冊や読書週間、クリスマスと何かあるたびに繰り広げられる騒動に巻き込まれる展開は、なかなか微笑ましい雰囲気でした。書店ものとして期待して読むとやや浅いですが、そういうものとして楽しめばなかなか面白かったです。2016/12/04
書の旅人
7
夜な夜な本のゴーストたちが店内で大童…と、書籍版トイ・ストーリーの様な話とくれば、手が出ないわけがない。夢のある物語で楽しめた。作中の大人目線で、我が子に絵本を押し付ける母親には、以前意見の食い違いからの苦い思い出が蘇る…。子どもの為という想いは分からないわけではないが、無理強いは良くない。その相反する考え方により、後味の悪い結果になってしまったが、我が夢にとっては良い勉強になった。2017/01/07
ぽて
3
【エキナカの書店で面接時に、読まないくせに「本好き」と公言してしまった大学生バイトの渡鍋渉。遅番で入るよう頼まれた渉が見たものは、閉店後の店内で走り回る身長十数センチていどのフィギュアのような連中だった。美人書店員の竹河紫野によると彼らは『本に込められた“想い”が形になったもの』だという。そして閉店後行なわれるのは…仁義なき「平台争奪戦」。そして戦いの内容は、ジャンケン、陣地争奪戦、『雨夜の品定め」つまり異性の品定めプレゼン、レファレンスなど。少しずつ慣れていく渉にPOP作成などの難問が…】読みやすかった2017/12/05
だけど松本
2
面白かった。きっと平台のはじっこのほうの位置を争ってるんだろうなあ。そしてその時のメインのテーマに無理やりこじつけて置かれたりするんだろうなあ。信長の本とビジネス本を絡めたように。と思うと、本屋の平台のはじっこあたりになぜこの本?みたいなのが置かれてないかなーなんて探してしまいそう。2017/11/19
璃紅葉
1
本の思いが具現化した存在、“ゴースト” 素敵ですね。 もしかしたら働いている本屋にも本のゴーストがいるのかな?なんて思いました。 もしいるならば私も会ってみたいです。笑 2018/01/29