著者等紹介
長澤靖浩[ナガサワヤスヒロ]
1960年大阪生まれ。大谷大学大学院修士課程修了。大阪府公立学校教諭。2013年心停止による臨死体験を経て、本格的に小説を書きはじめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ニケ
6
作者のあとがきを読むと、この作品が自伝的小説であることが伺える。60台の父が病に倒れ死んでいく中で、主人公である息子が生と性と死を落ち穂拾いのように黙々と集めていき、アラフォーである既婚の男が自らの命の使い道を見つけていく。キーワードとなる蝶を、魂や精神の小道具として、時には偶像化ともなり美しく孵化して一斉に放たれていく。それは、作者が実際に小説を書くきっかけとなった死の淵を彷徨った臨死体験での映像が強く影響しているのかどうか、透明で静かな世界に「蝶を放つ」という五感を呼び起こす現象になぞらえていた。2014/11/29
Quijimna
3
食道癌で亡くなった父と、その愛人をめぐる自伝的な小説。書物には、胸がすくような非日常の体験か、或いは、自分も含めた普遍的な人間への探求と共感、そのいずれかを求めてしまう癖があるので、この1冊は私のニーズとはちょっと合わなかった。★☆☆☆☆2018/12/15
浅井秀和 「不正規」労働者
1
文体が安岡章太郎に似た感触を感じました。 作品世界は著者の世界観(エロスとタナトスが表裏一体の世界)が詰まった作品です。 僕は、この作品で一番気にいったのは表題作ではない「仙田くん」の最後の仙田くんの言葉です。 仙田くんの言葉はオチになるので、買って読んでください。2014/10/27