目次
第1章 現代的想像力とヒューマニズムの問題―第一次大戦後の文学
第2章 ヴィジョンから悪夢へ―リアリズムをめぐる一省察
第3章 洞窟の反響
第4章 フォースターとキング―「私の信条」と一九三〇年代
第5章 ホモセクシュアルの思想と感覚―『アナザー・カントリー』と『モリス』をめぐって
第6章 『インドへの道』からの旅―精神のたたかいと不服従の可能性
著者等紹介
立野正裕[タテノマサヒロ]
1947年、福岡県生まれ。明治大学文学部教授、専攻は近現代の英米文学だが、日本の戦後文学についても評論活動をおこなう(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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エリンギ
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著者の若い時代に研究対象となったイギリスの現代作家、E.M.フォースターに関する論文やエッセイをまとめた一冊。フォースターの現代性は、あらゆる批評家をもってしても正しく評価されていなかったが、これは著者の「読み」によって確立されたと思ってよい。自分の属する価値観に凝り固まったまま、他宗教のインドを支配する大英帝国主義の過ちを学ぶことで、そもそも異なる文明を比較し相手の上に自分が立ったと思い込むことがいかに愚かか実感する。フォースターの小説を読んだことがなくても、この一冊で現代文明を深く考察することは可能。2021/02/06