内容説明
駅前の小さなコーヒーショップでアルバイトをしながら美大に通う拓海。彼には長い間、絵のモティーフにしたいと観察している青年がいた。毎日、コーヒーショップの前を自転車で通り過ぎる青年は素晴らしく美しい骨格の持ち主で、その横顔は石膏像のマルスを思わせた。モティーフにしたいと思う一方で、一枚のガラスを隔て決して縮まらない距離は大人しく人付き合いの苦手な拓海を安心させてもいた。しかし、ある土砂降りの雨の日に、マルスが店のドアを引いて入って来た―。透明感のある美しい文章が織りなすドラマティック・ボーイズ・ラブストーリー。
著者等紹介
阿賀直己[アガナオミ]
1987年兵庫県生まれ。2011年よりweb小説の形態で執筆を開始し、人気を博す。『神さまはこの恋をわらう』がデビュー作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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このん
29
(2013年11月17日3494)何をするにも不器用な美大生の拓海が好きになった洸介。だが洸介には、寂しくなると自傷行為をする彼女が居た。拓海と洸介はいつしか強く惹かれあい、洸介が彼女に別れを切り出すが自殺未遂を起こす。彼女の存在がある故に一緒に居る事が許されない拓海と洸介。洸介が『ごめんな。ちゃんとしてやれないのに、あの可愛い女の子と付き合うなとか、俺以外見るなとか、色々言ってごめん…』の言葉が切ない。2人がいつの日にか一緒に幸せになれる日が来るのだろうか。自傷行為で洸介を繋ぎ止めるなんてずるい。2013/11/17
JUN+
22
美大生の拓海とガソリンスタンドで働く洸介。男同士で恋してしまったからといって二人ともゲイではなく、女性との恋愛の顛末も描かれるためBL小説という括りではない。それだけにある意味とても現実的な展開と収束で、100%スッキリできる読後感ではなかったものの、大切なものを壊すまいとする想いは充分に伝わってきた。ただ、拓海視点での自分へのツッコミ含む心の声が最初のうちは今風な文体で面白く感じたものの、クライマックスになってもなおそれが続くのはいささか興醒め。でもできるなら10年後くらいの二人が見てみたい。2014/02/13
mayon@十五夜読書会
19
両者の仕草の描写にキュンキュンして一人で盛り上がり、 後半からは切なくて涙が出そうになりました。 続編があればいいのに><2014/01/30
リリー
18
超よかった…‼︎✨うわ〜びっくり。よかったです。章の区切りに独特のリズムがあって苦手な方もいるだろうけど、私は気にならなかったです。美大生の拓海は目立つ容姿のわりに喋るのが苦手で、テンポが遅く、人馴れしていない。アルバイト先のカフェの外でいつも見かける青年を密かに"マルス"と呼び、眺めていたが…。一般小説、それも翻訳物に近い雰囲気で、流れるように読めました。あえてBLらしくない終わり方もいい。このところで久々のヒットでした❤︎2015/04/17
きなこ
11
評判通りとてもいい作品だった。二十歳を過ぎての初めての恋に拓海は泣いて笑って悩んでもがいて…それが拓海の飾らない言葉で綴られている。片想いは切ないけれど、両想いがもっと切ないなんて。2015/01/29