内容説明
時は平安―。京の都を立て続けに怪異が襲った。やまない災厄に、人々は怨霊の存在を噂し始める。篁はその真為を確かめるべく閻魔王のもとを訪れた。そこで聞かされたのは、かつて都中に恐怖をもたらした怨霊・早良親王のその後で…冥府の役人・小野篁が京の闇を斬る。謎の人物・小野篁を描いた新生・平安ファンタジー。
著者等紹介
鈴木麻純[スズキマスミ]
1985年、静岡県生まれ。2007年にwebサイト「Nosferatu」を開設。創作小説を書き始める。「蛟堂報復録」でアルファポリスミステリー小説大賞を受賞し、書籍刊行へと至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひめありす@灯れ松明の火
36
最初ちょっとつっかえたけれど、読みなれてくると太宰とか、中高生向けの古典の訳本みたいな感じで不思議にすらすら読める。文章も平安時代感あふれる雰囲気がたっぷりで、馥郁としていてよい感じ。注釈も適度に入っていて嫌味でない程度で、地獄の解釈も新しくて面白いし、登場人物も篁、真冬、親王と美形だけど癖ありでなかなか興味深い。特に篁の嫌み臭さが非常に好きです。そしてこちらのお話では一体篁は何をしでかしたのか……?と気になる。つまりは、なかなかにお気に入りになったという事なのです。続編をぜひ期待したいです。2012/03/30
秋製
34
これはいきながら冥府の役人を勤めたといわれた、小野篁の話です。平安時代は陰陽師の話や、物の怪、怨霊と恐れられ奉られた存在が多くあった。この話にあった怨霊と呼ばれたある者への采配に安堵というか、篁のいう事にも納得しました。2013/03/27
キキハル
25
肩の凝らない軽い娯楽読み物として楽しみました。小野篁は生者でありながら、夜には冥府へ下り閻魔王の冥官として仕えている。美貌の親友・藤原真冬と新たに知り合った柳丸宗道。蹴鞠に興じ酒を酌み交わす仲になったのだが、京に災いが続くようになる。炎が舞い、影が襲い、物の怪が跋扈し、疫病が流行るにしたがって、早良親王の怨霊だ呪いだと噂が広がる・・・。人の世よりも冥府の描写が面白い。閻魔王が女性であったり、篁は彼女のお気に入りだったり、牛頭馬頭のユニークさとか。篁がヒーローぶりをあまり発揮しないのが、少々物足りないかな。2011/09/29
わった
20
最近、小野篁が気になって気になって仕方なく、この本を手に取ってみました。伝説のように井戸をつかって地獄へと赴き、閻魔王とのやりとりをするシーンもあります。それだけではなく、平安時代の恋模様も描かれていて、身分違いの結婚、恋に切なさを感じるシーンも。とても面白い本でした。また別の小野篁本を探してみたいと思います。2016/10/06
m
15
夜ごとあの世へと通じる井戸を使って冥界の閻魔王に仕える小野篁。そんな興味深い人物がいたのかと、その存在を知ってからずっと関連本を読みたいと思っていた。クールな篁とおちゃらけた真冬のコンビが小気味良く、牛頭馬頭も憎めなくて好き(笑)閻魔王が女性として描かれていたのは意外だったが、慈悲深いところを見れば納得かも。今回は人間界が舞台だったので、篁の冥界での活躍話も読んでみたい。六道珍皇寺に行くのが楽しみだなぁ。2015/08/08