内容説明
男と女のあり方に「正しい」と言えるものがあるのでしょうか。必要なのは母親がゆとりを持つことに対する世の理解を促すことです。あの人はどうして暴力をふるうのでしょう。ジェンダーに縛られず、DVの無い、自由で豊かな“男女共同参画”社会を創るために大きな力になる本です。
目次
第1話 モモタロー・ノー・リターン(桃太郎)
第2話 一寸ちゃんがゆく(一寸法師)
第3話 亀の惑星(浦島太郎)
第4話 しきたり雀(舌切り雀)
第5話 コブつきオジさん(瘤取りじいさん)
第6話 サルカニ・バイオレンス(さるかに合戦)
第7話 フォーラムin大江山(金太郎)
著者等紹介
奥山和弘[オクヤマカズヒロ]
1954年静岡県藤枝市生まれ。金沢大学法文学部卒。静岡県立吉原高等学校校長。県教育委員会事務局に勤務した際に男女共同参画の啓発を担当したことを契機に、個人活動として講演・執筆等を続ける。社団法人日本漫画家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
喪中の雨巫女。
8
《私‐図書館》日本昔話のキャラクターを使い、ジェンダー問題点を解りやすくしたストーリー展開が面白かった。2011/07/28
みつけるちゃん
2
昔話は文字通り昔を舞台にした話だから、過去の男性像・女性像が根底にあるのは当然で、じゃあそれを書き換えるべきか、文化として尊重すべきかは難しい。幼少期に触れれば旧来の価値観に染められる懸念があるのもわかる。人間も生物である以上、完全な中性は目指せないが「人間における最も基本的な違いは男女差」という考えに縛られるのは確かに時代にそぐわない。つう(鶴)の言った「人間、自分でも意識しない何かに縛られているもの」という言葉が本質なのだと思う。他者から押し付けられる偏見もあれば、自分で手放そうとしない先入観もある。2021/09/14
海苔子
1
昔話の設定を元に、ジェンダー問題を読みやすく分かりやすく書いてある本。とくに、女性はこうあるべき、男性はこうあるべきという考えがもたらす息苦しさや追い詰められていく辛さが描かれた「しきたり雀」が秀逸。しかしタイトルにもなっている「モモタロー ノー リターン」のオリジナルが世に出たのが1995年というから、20年近く経ってもこの手の問題がなかなか解決しないことを思うと、人々の意識や認識を変えるのは実に難しいことなんだと実感する。2012/03/06
panda
1
誰もが知っている昔話をリメイクしてジジェンダーやDVなどの問題をユーモラスに描いています。わかりやすくて面白い(^^)v冒頭にも書いているけど、著者が男性だということの意味は大きいと思う。 この本を若い人読んでもらいたい。多くの人がジェンダーに対しての「教育」とか「政策」とか堅い気持ちではなく、ナチュラルにこの本に触れてほしい。そしたら現状への気づきがほっこりする気がします(もちろん苦い想いも含まれるけど)こんなのいつの昔話だよー!って笑い飛ばせる未来ってすごくキラキラしてるなぁ。2011/11/08
ズナ
0
ジェンダー概念や日常に潜む差別意識について優しく気付かせてくれる一冊です。女性だけでなく男性らしさに苦しむ人にも焦点を当てたお話も収録されています。少しオーバーな描写もしばしばありますが、脚注が充実しており読み応えのある一冊でした。
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