内容説明
イプセンの「民衆の敵」はエンターテイメントとして申し分なく、コメディとして最高で、人間ドラマとして一級で、なおかつ政治劇、社会ドラマとしても極めて深く、本質的である。人間の愚かさ、醜さ、いい加減さをあますことなく描き尽くし、なおかつ突き放していない。そしてそのどうしようもなさからこぼれおちるのは、人間という生き物の魅力である。生きているということは、嘘をつき、間違いを犯し、罪を犯し続けることだ。イプセンはそのことを厳しく断罪しながら、少しも否定はしていない。強く告発しながら、容認してもいるのだ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
13
過去に岩波版を読んでいるが、この笹部訳は初読。 ノルウェーの劇作家イプセンの『人形の家』と並ぶ代表作である。主人公、医者にして科学者のストックマンの故郷に湧く温泉が、工場から出る廃棄物で汚染されていると判明。しかし、村長や新聞社は自己利益のためにストックマンの調査結果を握りつぶそうとする。社会問題をテーマにした戯曲のようだが、イプセン自身は「自分は詩を、人間を描いただけ」と言っている。『ドン・キホーテ』のごとき悲喜劇であり、人間の普遍的な本質を鮮やかに抉り出している。最後の訳者の解説は正直軽すぎると思う。2025/10/20
ぴ
2
とある書店のサービスにて選書してもらった1冊。 この本を私にぶつけてくる店員さんの鋭さに感服だし、 まだまだ立ち向かえない自分にはしょんぼりする。 それにしてもすごかったなあ…。2021/08/23
ヨー
1
スゴくおもしろい作品 おもしろいというのは 笑えるわけではなく 興味深いテキスト。 自分たちは 舞台化しました2016/09/02
はちこ
0
おもしろかった!ストックマンかっこいい。ペトラもいい。 人形の家も読みたいな。




