内容説明
「トスカ」は見せ場に継ぐ見せ場の連続で、観客を喜ばせ、熱狂させるまさによく出来た芝居の典型である。そしてその魅力の中心にあるのが、嫉妬深く情熱的な黒い瞳の歌姫トスカである。我が侭、気紛れ、奔放、がむしゃら、自分勝手、思いこみが強く、頭の中には妄想がいっぱいのトスカ。そしてトスカは演じる女である。愛を、憎しみを、怒りを全身で演じ、愛そのもの、憎しみそのもの、怒りそのものに変貌する。瞬時に変わるその心の動きに、一瞬も目が離せない。どうかオペラでも有名なこのキャラクターを、御十分に堪能下さい。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
量甘
7
オペラ「トスカ」を観て。女優サラ・ベルナールのために書き下ろした台本を知ることで、より「トスカ」を理解できた。嫉妬深く、激しく、情熱的なトスカ。そんな歌姫トスカにすっかり魅了されてしまった。2018/07/17
かりんとー
5
トスカ最高ですね~。強い女。シェイクスピアより面白いかも。2024/07/15
しょこ
5
こんなにチャーミングな悪態のつき方があるのか、とトスカがヒステリックを起こす場面で呆気にとられて思わず笑ってしまった。トスカは大人の女性だが、その様はおもちゃを買わない親に怒り狂う5才の女の子のよう。媚びも拗ねも混じらない完璧な怒り。トスカの相手は親ではないけど。王や支配者、権力に対するものである意味命懸け。そしてそれはすべて恋人のため。最後は恋人のために敵を殺してしまう。迷いや後悔に揺れることなく、自分を邪魔するものは許さないという態度だけど、時々垣間見えるかすかな気弱さもあって、始終心をくすぐられる。2013/11/28