内容説明
恋する女フェードル。一言で言えば、フェードルはひどい。一方的に自分一人で盛り上がり、何の罪もない周りの人間を巻き込み、自分も含めて、全てを破滅させてしまう。恋愛によって人間は愚かになるというが、フェードルのお馬鹿ぶりは空前絶後である。その思いこみと独りよがりは、もうお見事と言って感嘆するしかなく、その暴走振りに、爽快さすら感じてしまう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
帽子を編みます
43
これも笹部博司の一冊、あとがき代わりに「怪獣となった女」として散文であらすじとしてまとめられています。フェードルを暴走する怪物として描きます、驚きはあれどそういう解釈もありだなと思いました。これはこれで面白い一冊。このシリーズは登場人物も舞台も極力減らしてどのように演じるのかを深めるためのものでしょう。私はフェードルについてはもう少し深めてみたくなりました。ギリシア悲劇の知識もいるし、こうなると『メディア』にも手を出したくなるし、一冊読んでおしまいとはいかないのが読書の楽しみでもありますね。2024/11/12
あくび虫
2
読みやすいし、面白いのですが、なんともいえない物足りなさは、一体どこからくるのか。ぺらぺらの、いかにも廉価な本の様子?もうひとつの翻訳?目に付く誤字…?不思議な消化不良感が漂います。2021/02/12
そこにあったはずの何か
1
恋を蔑んできた人間が、その恋に狂わされて破滅してしまう様に既視感があって、かなり憂鬱になった。進行役のセリフが辛辣というか、あっけらかんとしていてちょっと面白かった。2022/10/12
ロバーツ
1
再読だったとは。2021/12/12