内容説明
ぼくは、花を押しつぶそうと、薔薇のもとに急ぎました。薔薇は草の上に身を投げ、哀れみを請いました。「お願い、助けて!わたしはこんなに美しく、こんなにかぐわしい。この香りをかいでみてください。そうしたらきっと見逃してくれるでしょうに!」ぼくは薔薇の香りを胸深く吸い込みました。すると、思いがけぬ陶酔に激しい怒りはすっかり和らいでしまったのです。ぼくは草の上に横になり、薔薇の傍らで眠ってしまいました。
著者等紹介
サンド,ジョルジュ[サンド,ジョルジュ][Sand,George]
1804年7月1日パリに生まれる。本名オーロール・デュパン。社会的な枠にとらわれずに行動し、激しい面を持つ愛情深い女性だった。ミュッセやショパンの恋人として有名。『アンディアナ』でデビュー、『愛の妖精』など、七十二歳の生涯をとじるまで一〇〇篇にのぼる作品を書いた
クラヴルー,ニコル[クラヴルー,ニコル][Claveloux,Nicole]
1940年フランス、ロアール県サンテティエンヌに生まれる。同地の美術学校を出て、1967年パリに移り住む。漫画や新聞、絵本の挿画などを手がける。ルイス・キャロル、アンデルセンの挿画など六〇作品以上にのぼる
田中真理子[タナカマリコ]
イタリア語通訳、翻訳者。作家。精神の内奥部分に興味を持ち、それに関連したテーマを翻訳、執筆している
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小夜風
22
【図書館】花の言葉が判るようになった女の子が、野薔薇と微風さんの会話を聞き、微風さんの語る壮大な天地創造のお話に耳を傾けます。読みながら薔薇の香りが香ってくるような気がしました。童話とか挿画とかの域を超えてます。芸術的で素敵でした。作者のジョルジュ・サンドを知らなかったのですが、ショパンの恋人ですって!2015/09/24
つき
10
花の言葉がわかるようになった女の子が耳にした、花の女王、薔薇の花とそよ風に纏わる物語。そよ風は昔、この世を滅ぼす嵐の王の王子だったのだが…。清涼な風に吹かれたかのような読後感。また読み返したい。2018/04/27
かりさ
8
ジョルジュ・サンド生誕200年記念絵本。サンドが晩年孫に残した童話の一編。独特なタッチの絵とサンドの幻想的壮大な物語が絶妙に合っていて、艶やかな色香に魅せられます。時にロマンチックに、時にエロチックさえ感じさせるサンドの世界。それは波乱万丈の人生を生きたサンドだからこそ生み出せたのでしょう。ひとりの少女、アウローラがそっと耳を傾けた薔薇の花の言葉。ショパンをBGMに読めばまた素敵な時間が流れそう。サンドの物語、他にも興味があります。そしてニコル・クラヴルーの鮮やかな絵が忘れられない。表紙が素晴らしく素敵。2011/09/04
ははは
7
ジョルジュ・サンドの初絵本!壮大だけど優しくて、夢があって、素敵なお話でした。情けと哀れみを知った王子様は....2014/02/24
ねちゃぴん
1
どこか不気味できれいなイラスト。すごい。あと、こういうばあちゃんになりたい。2010/12/01
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