内容説明
貧困からの脱却が大きな課題であった昭和29年。東京芸術大学の助教授を務めていた日下画伯の元に、文化庁から王塚古墳模写の依頼が届く。下見に訪れた日下画伯を待っていたのは、一見すると大陸の古墳にくらべてあまりに稚拙な日本の壁画に対する失望だった。しかしそれまでの模写にはない精密さを追求することを決心した画伯の前に、次々と新しい文様が現れる。その発見により次第に装飾古墳の虜となっていく画伯。外界と遮断された狭い石室、その悪条件の中で模写に没頭した日下画伯の生涯に迫る。
著者等紹介
小川紘一[オガワコウイチ]
1941(昭和16)年徳島県に生まれる。徳島大学大学院医学研究科博士課程修了。米国ペンシルバニア大学医学部で蛋白合成機構の研究に従事。専門分野は酵素病理学、内科学一般、呼吸器内科、糖尿病など徳島大学医学部助手、講師を経て、現在内科クリニックを開業
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