内容説明
非常階段を下り、市営プールに犬を放し、遊女小屋をのぞいてせまい路地を抜けると海の匂いがする。猥雑な町を往く歌人が出会う哀歓・混沌・猥褻・愛執。歌人は歌う。ちいさなちいさな声で。不思議な町を舞台にした、やさしく、ひんやりとした短歌集。
目次
1 夜の屋上は錆びたブランコの匂いがする。
2 世界はそう簡単には終らない。とりあえず。
3 ひくいひくい空の下をただ歩くだけ。
4 CQCQこちらアボガド一号。聞こえますか?どうぞ。
5 雨の上に雨が折り重なっていくのを見ている。
6 ぼくらは一体どこまで行けるだろう、とあなたは言った。
著者等紹介
村上きわみ[ムラカミキワミ]
歌人。北限短歌会・MLラエティティア所属
ヲバラトモコ[オバラトモコ]
デザイナー、イラストレーター。PS2ソフト「エンドネシア」(バンプール/エニックス)の制作にグラフィックで参加
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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kaizen@名古屋de朝活読書会
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#村上きわみ #短歌 投げ出したからだに水を聴いているふたりきりふるい記憶のように 名を告げあい名を呼びあって河口までひかがみに水匂わせてゆく 始まりはピチカート澄みわたるまで待て雨を欲る君より強く 海に降るあたたかい雨逝ったひとだけがわたしに近づいている 海を聴くふたりきり遠く別々の心音重なりはぐれ重なる 何ということではないが終わったとふいに了解する雨の午後 <返歌> 海に降る冷たい雨に逝った人貴方と会話今もしている2016/08/12
Luo Yang
1
90年代女子がどろりと淀んでいる歌集です。2014/05/19
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