内容説明
アメリカ先住民族(インディアン)の口承で、戦闘を前にした部族の酋長が、今日は立派に戦ってこい、「死ぬには、もってこいの日。」だから、と部下を鼓舞したこの言葉には、もちろん苦難に立ち向かい、今日を精一杯生きよという逆説的な意味が込められている。妻と別居し、キーウエストで釣りをしながら怠惰な生活を送る主人公が、ベトナム帰りのティムと出会う。そして自由奔放なティムのペースに巻き込まれ、ダム爆破という突飛な思いつきを実行するべく旅に出る。ティムの愛を取り戻とうと苦悩する恋人シルヴィア。シルヴィアへの愛と欲望に煩悶する主人公―そして物語は意外かつ破天荒な結末を迎える。
著者等紹介
ハリスン,ジム[ハリスン,ジム][Harrison,Jim]
ミシガン州北部の片田舎に、リンダ夫人と共に四十年以上も暮らしている。彼のメインテーマは、人間が豊かな生活と引き換えに破壊してきた自然に対する暖かいまなざしで、アメリカ、カナダ、ヨーロッパでは自然派の代表的な作家と目されている
大嶌双恵[オオシマフタエ]
北海道生まれ、京都女子大学英語科卒業。インターカレッジ札幌、第一回卒業生
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感想・レビュー
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co_taro
7
借金を重ね釣りに逃避する主人公。流れ着いたキーウエストの酒場で彼はティムとシルヴィアに出会う。ダム破壊、呆れた計画にのめりこむベトナム帰りのティム。深い刻印を心に持つ男は過去から逃げるようにダムのある渓谷を目指す。生き延びてしまった男と行き迷った男、明日が「死ぬには、もってこいの日」かもしれないことを、どんづまってしまった男たちは恐れてる。傷を舐め合い、一緒にいることはやがて破滅へと続くことに気づいていながら離れることの出来ない3人の男女、人間の弱さ、欲望、そして希望と絶望に向き合う9日間のロードノベルだ2024/12/01
へんかんへん
2
読んだと思ってたが微妙に違う題名だった2017/09/06
mikamika
2
知り合ったカップルと成り行きでダムを爆破し崩壊させようということになる。2017/03/12
mejiro
1
成り行きでダム爆破の旅に出ることになった2人の男と1人の女。素面では何もできないかのように、ひたすらドラッグをやり酒を飲む。語り手は小心で無気力なのに、欲望への執着がすごい。本能が持つエネルギーは強烈だと思った。三角関係の描写が、女=世間、男=世間からの落後者という比喩を含んでいる気がした。哀愁漂う作品だった。2014/07/13
xkxxxxk
0
アメリカンだなあ。終わり方は好き。2015/12/09