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エピジェネティクス

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  • サイズ B5判/ページ数 238p/高さ 26cm
  • 商品コード 9784431710646
  • NDC分類 467.2
  • Cコード C3045

出版社内容情報

《内容》 エピジェネティクスは,DNAの配列変化を伴わずに子孫や娘細胞に伝達される遺伝子機能の変化と定義され,後成遺伝学と訳される場合もある.2004年4月にヒトゲノムの完全解読が宣言されたが,細胞内のゲノムがもつ情報は塩基配列だけではなく,エピジェネティックな情報も無視することができない.生物は,ゲノムDNAとそれに接触するヒストンなどのクロマチンタンパク質を化学修飾することで,可変的で複雑な情報のシステムを作り上げてきた.そして,エピジェネティックな情報がゲノムに書かれた遺伝情報の発現を操る「魔法の手」として働いている.
エピジェネティクスの分子レベルでの研究は最近になって爆発的に進みはじめた.また,エピジェネティクスは受精から老化に至るまで,われわれのもつすべての細胞で重要な働きをしている.そこで本書では,それらの点を網羅的に概観できるよう構成している.まず主要なエピジェネティクスの分子機構をまとめ,つづいて,さまざまな生物におけるエピジェネティクスとかかわりの深い生命現象をテーマにその詳細を述べた.最後に医学における新しい発見と可能性について記した.
本書を紐解けば,メンデルの法則では説明できない遺伝現象や,突然変異も欠失もないがん抑制遺伝子のサイレンシング,クローン動物の成功率の低さや,一卵性双生児の表現型の不一致などの原因が見えてくるだろう.さらに,新たな生命像や,進化の原理,難病の病因解明や,診断法の開発と創薬などの可能性も見えてくるはずである.エピジェネティクスは,まさにさまざまな可能性を秘めている.
急速に研究が進むエピジェネティクスを,おもに高次生命現象とのかかわりを中心として解説する待望のレビュー集.エピジェネティクスの研究者だけでなく,発生・分化,あるいは,がんをはじめとする疾患にかかわる研究者もみな必読.    

《目次》
I.エピジェネティクスの基礎
1.エピジェネティクスとは何か
2.DNAメチル化機構とその役割
3.メチル化DNA結合タンパク質と遺伝子発現抑
4.メチル化ヒストンによるクロマチン構造のエピジェネティクス制御機構
5.ポリコーム群タンパク質とエピジェネティクス
II.単細胞真核生物のエピジェネティクス
1.酵母の活性・不活性クロマチンドメイン
2.テトラヒメナのゲノム再編成
3.緑藻クラミドモナス葉緑体遺伝子の母性遺伝
III.動物のエピジェネティクス
1.ショウジョウバエのヘテロクロマチン形成
2.哺乳類の胚発生とDNAメチル化
3.ゲノムインプリンティング
4.性染色体の遺伝子量補償
5.哺乳類のメンデル遺伝するエピジェネティクス
6.組織幹細胞の分化とDNAメチル化
7.組織特異的DNAメチル化と体細胞核移植クローン
IV.植物のエピジェネティクス
1.植物の遺伝子サイレンシング
2.DNAメチル化による植物のトランスポゾンの制御
3.植物のゲノムインプリンティング
V.エピジェネティクスと疾患
1.生殖・発生の異常とエピジェネティクス
2.がんとエピジェネティクス
3.エピジェネティクス機構に異常のある遺伝病
4.インプリントドメインの異常と疾患
5.染色体工学を用いたヒトのエピジェネティクス解析
6.再生医療とエピジェネティクス

内容説明

メンデルの法則では説明できない遺伝現象がある。DNA塩基配列の変化を伴わない遺伝子機能の伝達、それがエピジェネティクスだ。発生・分化において重要な機能をもち、がんなどの疾患とも密接に関係する。エピジェネティクスと高次生命現象とのかかわりを解説する待望のレビュー集。

目次

1 エピジェネティクスの基礎(エピジェネティクスとは何か;DNAメチル化機構とその役割 ほか)
2 単細胞真核生物のエピジェネティクス(酵母の活性・不活性クロマチンドメイン;テトラヒメナのゲノム再編成 ほか)
3 動物のエピジェネティクス(ショウジョウバエのヘテロクロマチン形成;哺乳類の胚発生とDNAメチル化 ほか)
4 植物のエピジェネティクス(植物の遺伝子サイレンシング;DNAメチル化による植物のトランスポゾンの制御 ほか)
5 エピジェネティクスと疾患(生殖・発生の異常とエピジェネティクス;がんとエピジェネティクス ほか)

著者等紹介

佐々木裕之[ササキヒロユキ]
国立遺伝学研究所
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。