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ゲノムからみた生物の多様性と進化

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  • サイズ B5判/ページ数 222p/高さ 26cm
  • 商品コード 9784431710226
  • NDC分類 467.3
  • Cコード C3045

出版社内容情報

《内容》 最近のゲノム科学の進展は著しく目を見張るものがある.2003年4月にはヒトゲノムの完全解読宣言が国際的に行われ,新聞などでも大きく報道された.ヒト以外でも,すでにマウスやラットのゲノムデータがすでに公表されており,完全ゲノムが解読された生物種の数はうなぎのぼりの様相を呈してきている.さらに,多様な生物種のゲノム解読が世界各地で同時平行的に進行しており,ゲノムデータ増加の勢いはさらに続くものと思われる.また,ESTや全長cDNAなどの遺伝子発現データや転写産物データも,DNAチップなど新しい技術開発ともあいまって,さまざまな生物種で著しい情報の産生と蓄積がみられている.
このような状況のもと,この莫大な塩基配列をはじめとするさまざまな生命情報を用いてどのような新しい知見を創出するかが,生命科学における今後の重要な課題となっている.とりわけ,こういったゲノム科学の進展が多様な生物種に広がるとともに,産生された生命情報は異なる生物種の比較研究を活発化し,発生,脳・神経,免疫などといった高次の生命現象の理解にその比較研究が応用されていくものと思われる.生物の多様性と進化は,今後のゲノム科学の中心課題のひとつである.さらに,生物の多様性は,異種間の比較というだけでなく,同じ種の集団内変異という視点においても,ゲノムやトランスクリプトーム,プロテオームといった新しいデータで解析される必要がある.
本書は,このような状況のもと,生物の多様性と進化という観点から,最新の研究成果をわかりやすく概説したものである.特に,各章で扱う生物種を進化系統の流れにできるだけ一致させるように努力し,構成に一貫性をもたせた.
ゲノムの立場から生物の多様性と進化をわかりやすく解説する待望のレビュー集.ゲノム科学の研究者だけではなく,ライフサイエンスの研究者はみな必読.    

《目次》
1.ゲノムから遺伝学,そして,進化多様性の研究へ
2.アミノアシルtRNA合成酵素の進化
3.レトロポゾンの進化
4.真核生物の初期進化
5.タンパク質立体構造の進化
6.好熱菌の熱安定性への戦略
7.エンハンサーの進化
8.ゲノム配列にひそむ特徴的なサインからみた生物多様性
9.線虫の多様性
10.眼の多様性と単一性
11.プラナリアの脳の進化
12.糖鎖遺伝子群の進化
13.凝固・線溶系のドメイン進化
14.動物遺伝子の多様化パターンとカンブリア爆発
15.脊索動物色素細胞と進化
16.ホヤ脊索形成の分子機構
17.エピジェネティックな発生と進化
18.MHC サブゲノムの進化
19.抗体遺伝子群の進化
20.ゲノムインプリンティングの進化
21.霊長類ゲノムの進化
22.Alu 配列の進化
23.人類集団の歴史
24.SNPとマイクロサテライトの分布と進化
25.ヒト集団の多様性
26.量的形質の進化