内容説明
物理学者が使用し理解している量子論自体に、パラドックスは存在しない。たとえば「波動と粒子の二重性」や「観測による波動関数の崩壊」といった通常いわれている問題は、すべて「解釈」に関するものであり、理論固有の問題ではない。記述的理論としてもっとも成功している量子論を、「解釈」する意味があるのだろうか。パラドックスが起こるのは、問題を科学の領域を超えて形而上学の領域に持ち込むからであり、そもそも科学の美はそういった想像上の神秘にではなく、宇宙の驚くべき豊かさと不思議さに単純さと一貫性を結び付けることにある。このような視点から、場を基本に据えながら、元素の周期律や分子形成、多体系といった具体的内容を解説することによって観念的な議論を排除し、量子力学の世界の客観的実在性をゆるぎないものとして位置づけようとする意欲的な思索の書。後半では量子力学の発展を解説し、その並外れた広がりと豊かさを主張する。
目次
序論
エーテルを超えて
量子力学の始まり
光電効果の分析
ド・ブロイと電子波
波動関数とファインマンの二重スリット実験
パウリ排他原理:粒子の同一性
シュレーディンガー波動方程式と水素原子
点電子批判
相補性と不確定性原理〔ほか〕
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