内容説明
人間の無責任という罪で消されるいのち。殺処分の現場を目の当たりにした著者は、憤りとショックでその場に座り込んだまま立ち上がることすらできなかった。そしてその怒りは、いつしか「殺処分ゼロ」を強く願う意思へと向かう。絶望の淵から希望へとつなぐ「いのち」のエッセイ。
目次
幼い頃の記憶
飼い犬・クマとの出会い
「ゼロ」への挑戦―熊本市動物愛護センター
初めて見た殺処分の現場
殺処分施設で働くということ
白い犬
さみしくて、さみしくて―捨てられた犬
迷子犬騒動記
考えてほしい、不妊・去勢手術のこと
お家に、帰ろう(「明日殺されるかもしれないいのち」を飼いたい;ゆっくり出会ってじっくり付き合う)
著者等紹介
尾崎たまき[オザキタマキ]
1970年熊本市生まれ。写真家。19歳のときにスキューバダイビングを始め、独学で水中写真に取り組む。2000年、コマーシャルフォトスタジオを退社し、上京、水中写真家・中村征夫氏に師事する。2011年よりフリーとして独立。現在は、水俣をはじめ、三陸、動物愛護センターなどをライフワークとして追いつづけ、精力的に写真展で発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
40
何度読んでも、初めて読んだ気になります。子供のころ、殺処分が許せなかった。そして、多くの人と同じ気持ちなことを知りました。できるはず。これからも。みんなで声をあげていけたら…。2022/01/13
馨
39
この手の本は本当につらい。カメラ目線で殺処分の運命をなんとなく感じとっているのか、じっと何か訴えているようなわんこ、にゃんこたちの写真が頭から離れません。犬や猫が皆幸せに暮らせる世の中になってほしいです。2015/10/04
たまきら
31
ギャラリーエフにて。怯え、悲しい表情をした犬たちの写真が続く。そして、愛され元気いっぱいに走り回る犬の写真が登場する。今さらながら、思う。本当に世界は不公平だ。だれかが、だれかの欲の犠牲になり、声をあげる場所もないまま不要物として「処分」されていく。「命の花プロジェクト」を聞いたときの苦い気持ち。怒り。悲しみ。無力感。けれども、何でも知ることから始まる。そして、負のサイクルから遠ざかるだけでも違うと思う。世界は美しく、醜い。そして知らないことが多すぎる。2019/04/21
退院した雨巫女。
21
《私ー図書館》人間の身勝手さを考えさせられる作品。飼うということが傲慢な気もしてきた。一緒に生きていく家族と考えればそんなことは、決してできない。殺処分はゼロにしないといけない。2015/11/08
4fdo4
20
「その後、ここにいたすべてのいのちの光が消えました。狭いガス室の中、大好きな飼い主さんがつけてくれた首輪をして、最後まで迎えに来てくれることを信じながら報われずに終わってしまった命です」2015/11/14