感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Saiid al-Halawi
4
コンスタンティヌス帝以降、ボニファティウス8世くらいの衰退期あたりまで。教会はペテロの後継かキリスト(王)の代理か、という一大テーマに当代の政治的要請に応える形で論争が進展する。歴史的経過を追うのが主眼なので、例えば政治的アウグスティヌス主義だとか、テオクラシーとヒエロクラシーの差異だとかの細かい説明は決して十分とは言えない。2013/11/11
アブーカマル
1
西欧中世政治宗教史の名著。テオクラシーとは教会が世俗の諸問題について主権を保持すると考える教説のことである(p.3)しかもそれがなんら教会側の政治的野心によるものでなく、キリスト教的徳を現世において実現しようとする宗教的使命によるものであったこと、テオクラシー批判者が、教会から独立した「国家」や「帝国」の観念を古代観念への回帰によって導かれたことも興味深い。もしかしたら近代の次の時代は新しい中世なのかもしれないと思った。中世キリスト教神学に向き合う時に傍らに置いておきたい一冊。2016/12/21