出版社内容情報
一九三六年にフライブルク大学で行われた夏学期講義の記録である。全集版では、講義の元原稿を徹底的に精査し、口述筆記録に基づいて実際の講義を忠実に再現、臨場感あふれる生き生きとした講義が展開される。
目次
予備的考察
第1部 自由の体系の可能性について。シェリングの論考の導入部(自由の体系の思想における内的な葛藤。導入部の導入部;体系構築の原理についての問いとしての汎神論問題。導入の主要部)
第2部 自由の体系の基礎づけとしての悪の形而上学。自由論の本論(悪の内的可能性;悪の現実性の様式)
著者等紹介
高山守[タカヤママモル]
1948年、東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科(哲学)博士課程中途退学。京都大学博士(文学)。現在:東京大学大学院人文社会系研究科教授
伊坂青司[イサカセイシ]
1948年、三重県生まれ。東北大学大学院文学研究科(哲学)博士課程満期退学。博士(文学・東北大学)。現在:神奈川大学外国語学部教授
山根雄一郎[ヤマネユウイチロウ]
1970年、東京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科(哲学)博士課程修了、東京大学博士(文学)。現在:大東文化大学法学部教授(哲学・倫理学)
シュテンガー,ゲオルク[シュテンガー,ゲオルク][Stenger,Georg]
1957年生まれ。ヴュルツブルク大学哲学博士(Dr.phil.)。現在、ヴュルツブルク大学員外教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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「西洋の哲学の最も深遠な著作の一つ」と評しているだけのことはあって、講義全体に異様な雰囲気が漂う。胸ぐらを鷲掴みされるような、あるいは居住まいを正されるような重々しさ。まずシェリングが『人間的自由』を書いた時期が強調される。ゲーテ、ナポレオン、ヘーゲル、等々。ナポレオンがゲーテに言った「政治こそが運命である」をパラフレーズして、ハイデガーはこの論考の歴史的意義を嘯く。「否、精神こそが運命であり、運命は精神なのだ。そして精神の本質は、自由なのだ。」この講義がなされたのは1936年(ヒトラー台頭以後)のこと。2018/02/07