内容説明
『グレート・ギャツビー』をまるごと味わうガイドブック。「もっともアメリカらしい小説」の12の謎を解き明かす。
目次
『グレート・ギャツビー』と村上春樹
ニックは、正直なのだろうか
ニックは、どのようなスタンスで語っているのか
ニックは、なぜジョーダンへの愛を語らないのだろうか
ニックは、なぜギャングの不倫にここまで入れこむのか
ニックは、なぜそんなに早く故郷に戻ったのか
ニックは、なぜギャツビーの屋敷に駆けこめたのか
ニックは、どんな男なのか
ギャツビーは、なぜニックの家をデイジーとの最初の再会の場所に選んだのか
ギャツビーは、なぜ眺めている姿が強調して描かれているのか
ギャツビーは、なぜ魅力的なのか
ギャツビーは、なぜデイジーと結婚しようとするのか
ギャツビーは、恋に狂っていたのか
著者等紹介
野間正二[ノマショウジ]
1949年京都府生まれ。大阪市立大学大学院退学・兵庫県立ピッコロ演劇学校修了。京都府立大学文学部教授を経て、2007年4月より佛教大学文学部教授・文学博士(京都大学)。その他:芝居の解題・評論を約160本。1990年ワシントン州立エバーグリーン大学(米国)で日本の演劇を一学期間講義(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コニコ@共楽
9
多くの人が『グレート・ギャツビー』の解釈を、ギャツビーの夢をアメリカン・ドリームと結び付けてきた。この本の解釈では、ニックの視点によって語られた物語という読み方をしている。印象深かったのは、ニックが正直な語り手であったか?という点だ。確かに彼は嘘はついていないが、本当のことも言わずに隠している。ニックが過去を振り返りつつ、ウソで固められたギャツビーにはやがて眼をつぶり、過去の希望を見出す非凡な男として最後にはたたえている。ニックの唐突に見えるミネソタの過去の幸せな思い出もだからこそ蘇るといえるだろう。2025/07/10
スイ
5
ピンと来たり来なかったり、それは私の好みの問題も絡むので、人の読み方から自分の読み方も見えて来るのが面白い。 ギャツビーの多面性をニックが無視しているというのがとても面白かったし頷ける。2019/02/21
シリカゲル
2
グレートギャツビー は何度も読んでいる本で、その度に発見があります。 しかし、この本に書かれているような読み方をしたことはなく、とても勉強になりました。 たた、一部論拠が挙げられていないところがあるのが残念でした。2019/03/31
c
0
全く期待していなかったディカプリオ×バズ・ラーマンの映画版が面白かったので、村上春樹訳版とこの本も読んでみた。新潮文庫版やロバート・レッドフォードの映画版を観る限り、単に「ある愛の詩」のようなウェットなメロドラマだと思っていたのだ。違う。これは西部劇同様アメリカの神話…いや寧ろ、予言や呪いの類である。アメリカに於ける、あらゆる破滅型の成功者の雛形がここにある。というより、この本に依れば一人称のニックは所謂「信頼出来ない語り手」であり、彼の口から語られる歪曲したギャツビー像こそアメリカが求める生贄なのだ。2014/07/24