明朝活字の美しさ―日本語をあらわす文字言語の歴史

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  • サイズ B4判/ページ数 342p/高さ 38cm
  • 商品コード 9784422730271
  • NDC分類 749.41
  • Cコード C3070

出版社内容情報


前著刊行後に判明した事実をはじめ多くの資料を駆使しつつ、日本の活字文化の歴史の全貌を見据え、全面的に書き改めた研究の集大成。

明朝活字は、明治のはじめ活版技術とともに上海から日本に導入され、その後、長く日本人の表現・記録・伝達の中枢を担ってきた。本書は、長年活字研究に携わってきた著者が、前著『明朝活字』刊行後に判明した歴史的事実をはじめ多くの資料を駆使しながら、電子書籍や携帯電話など現代の電子機器における文字に至るまで、日本における活字文化の歴史・発展・現状の全貌を見据えて、ほぼ全面的に書き改めた研究の集大成である。

一 はじめに

二 日本の活版印刷はどのようにして興ったのか
1 近代活版印刷とは何か
2 本木昌造鋳造活字と出逢う
3 本木昌造による活版技術の導入
4 ガンブルが長崎に伝えた活版技術
5 新街活版所の創業から築地活版所へ
6 官営印刷出版の系譜
1.蕃書調所から印書局の創設/2.印書局の活字販売攻勢
7 一つの画期を迎えた活字の製造販売
8 秀英舎の創業

三 活版印刷の普及を支えた社会的背景
1 木版から活版になった新聞の諸様相
2 活版になった新聞の明朝体
3 「県御用」新聞の発行と活版の普及
4 明治初年の出版事情と翻訳出版
1.明治初年の翻訳出版とその役割/2.東京大学の英文翻刻出版/
3.東京師範学校の創立と教育書の翻訳/4.法律書翻訳における時代の要請
5.「万国史」への渇望
5 教育制度の確立と教科書出版
1.文部省による教科書の自主選択自由使用のすすめ/2.印刷出版活動にあたえた学校教育の影響/3.検定制から教育の中央集権化へ
6 木版を陵駕した活版の指標
7 佐久間貞一『印刷雑誌』を創刊

四 活字とは何か
1 和文活字の種類
2 活字書体の種類と特徴
3 活字の字体と書体について
4 書体形成と漢字
5 種字彫刻による書体形成
6 ベントン型彫刻機による母型製作
7 活字の鋳造と組版

五 明朝活字の改刻による発展への苦心
1 明朝活字の源流 上海・美華書館
2 美華書館の明朝活字
3 活字の倍率関係による多彩な表現
4 揺籃期における明朝体の諸様相
1.本木系初期の明朝体/2.官営印刷の初期明朝体/3.官営印刷の分合活字/4.『改正西国立志編』における活字表現の苦心
5 美華書館の力を借りて進められた築地活版所の第一次改刻
6 印刷局の第一次改刻と『官報』体制の発足
7 築地活版所の第二次改刻を推し進めた人たちとその成果
8 印刷にあらわれた明治初期の言論規制

六 明朝体の二大潮流とその魅力
1 築地体
1.築地体の第三次改刻とその成果/2.第五次改刻によって築地体完成
2 第三次改刻を経て秀英体完成
3 築地、秀英体にみるその特徴
4 明朝体の生命力とその魅力
5 明朝体に抗しきれなかった清朝体

七 日本近代文学と明朝体のタイポグラフィ
1 近代文学の成立とその影響
2 文学の改革と句読法
3 括弧類の役割とその組版
4 近代文学にみるタイポグラフィの発達

八 和文活字の可読性とその研究成果
1 日本人の美意識が反映した活字書体
2 可読性研究の系譜
3 近視予防で始まった教科書の可読性

九 築地、秀英体以降の展開
1 新聞が先導したポイント活字
2 築地、秀英体以降の明朝体
1.大阪活版製造所/2.博文館印刷所から共同印刷へ
3 大正から昭和への移り変り
1.大正期の築地、秀英体/2.今井直一と三省堂の書体改革/3.凸版印刷、文字印刷へ始動/4.精興社タイプ
4 昭和十年代の細型明朝と築地活版所の解散

十 昭和の戦争がもたらした印刷出版界の惨状
1 国家統制下の出版文協と日本出版会
2 印刷文協設立経過に疑念と不安の応酬
3 活字の規格統一と変体活字廃止問題の顛末
4 同業組合機関誌『時報』にあらわれた戦争への道
5 指導層と対照的な同業組合員の声

十一 戦争から解放された明朝活字
1 自由な言論表現活動の出発
2 明朝体の整備を促した国語改革
3 戦後活版の全盛を準備したもの
4 ベントン母型による文字印刷の活気
5 活版全盛を廃絶へ導いた構造改善事業

十二 文字組版のデジタル化と明朝活字
1 文字印刷のデジタル化と活版の終り
2 一九八七年デジタル文字組版の現状
3 コンピュータ組版による年度版出版の現在
1.岩波書店『広辞苑』/2.有斐閣『六法全書』/3.出版ニュース社『出版年鑑』
4 電算写植からDTPの時代へ
5 パナソニック、シャープ新書体の開発
6 デジタル書体改革のために

十三 日本語をあらわす文字言語

資 料 1 漢字出現頻度調査と表外漢字
2 明朝活字書体一覧
年 表
索 引
あとがき

目次

日本の活版印刷はどのようにして興ったのか
活版印刷の普及を支えた社会的背景
活字とは何か
明朝活字の改刻による発展への苦心
明朝活字の二大潮流とその魅力
日本近代文学と明朝体のタイポグラフィ
和文活字の可読性とその研究成果
築地、秀英体以降の展開
昭和の戦争がもたらした印刷出版界の惨状
戦争から解放された明朝活字
文字組版のデジタル化と明朝活字
日本語をあらわす文字言語
資料1 漢字出現頻度調査と漢字符号体系
資料2 明朝活字書体一覧 昭和四十七年(一九七二)

著者等紹介

矢作勝美[ヤハギカツミ]
1928年、山形県に生まれる。1953年、日本大学芸術学部文芸学科卒。1955年~1967年日本印刷新聞社『印刷界』編集部に入りのち編集長。日本出版学会常任理事および副会長を歴任。武蔵野美術大学(1970年~1998年)、図書館情報大学(現、筑波大学)(1982年~1996年)において出版編集、出版流通、印刷出版史の講座を担当。1982年、『有斐閣百年史』第一回日本出版学会賞受賞。2002年、『明朝活字』その他の著作活動により第一回日本タイポグラフィ協会顕彰佐藤敬之輔賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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