出版社内容情報
我々は何者なのか? 科学者はホモ・サピエンスをどのように定義し、我々の種は我々以外の絶滅した化石人類たちとどう違うのか? 本書は、最新の科学、特に遺伝学の進歩が、人類の進化に関する我々の理解をどのように変革しつつあるかを探る。私たちの祖先がどのようにして容赦なく変化する気候に適応し、芸術、技術、社会における驚くべき革新をもたらしたのか、私たちの種の進化に関する理解が、重大な発見と技術の進歩によってどのように変化したのか、その驚くべき物語を明らかにする。
著者は、25年にわたる現場での経験をもとに、アフリカからユーラシア、オーストラレーシア、そして最終的にはアメリカ大陸へと拡散していった人類の心の在り方の起源を示す洞窟や岩屋に読者をいざなう。ホモ・サピエンスの進化に関する一般的な説明は、特に遺伝学をはじめとする分子生物学的な研究を強調しているが、本書は、著者自身がおこなった氷河期における芸術の起源と初期のホモ・サピエンスの進化の調査を含め、具体的な発掘や遺物から得た豊富な情報も活用している。著者は特に「行動」に焦点を当て、考古学的証拠を用いて、ほとんど想像もつかないほど遠い過去に生きていた人々の生活に迫っている。
内容説明
わたしたちは何者なのか?科学者は私たちホモ・サピエンスをどのように定義しているのだろうか?…本書の中でこの先、私が問いかける山のような質問は人類進化の研究者たちの間でも意見がしばしば食い違う。ヒトの特異な脳と、さまざまなものごとに対してその脳が生み出す想像力に富んだ解釈、そして、困難だらけの世界の中で、彼らがどのようにして驚くほど少人数で生き抜くすべを身につけたかの物語が合わさって、氷河期という時代の中から、私たち人類の起源の物語は紡ぎ出される。それこそが、私が本書で紹介したい物語である。(著者による本書「序」より)
目次
第1章 皮膚と骨
第2章 DNA研究の最前線
第3章 気候の変動と環境
第4章 拡散―アフリカからアジアへ
第5章 接触―ネアンデルタール人とデニソワ人
第6章 多様性
第7章 大災害―ホモ・サピエンス、ヨーロッパに到来す
第8章 ストレス、病気、近親交配
第9章 マンモスを中心とした生活
第10章 寒冷化
第11章 レフュジア―退避地
第12章 炉ばたと家庭
第13章 日の光が射さない世界―旧石器時代の洞窟絵画
第14章 ポータブル・アート―景観を持ち運ぶ
第15章 心の内側
第16章 死者の世界
第17章 アメリカ大陸への進出
第18章 家畜化の道―やがて人は自己家畜化へ
著者等紹介
ペティット,ポール[ペティット,ポール] [Pettitt,Paul]
英国の考古学者。専門は旧石器時代で、特にネアンデルタール人や更新世ホモ・サピエンスの芸術や埋葬方法。2013年からダラム大学考古学教授。1995年、オックスフォード大学の放射性炭素加速器研究所で考古学者としてキャリアをスタートさせた。2003年、クレスウェル・クラッグスで英国最古の洞窟美術を発見。2008、2009、2011年にはケンツ洞窟の発掘を指揮した。World Archaeology誌の編集委員でもある
篠田謙一[シノダケンイチ]
1955年静岡県生まれ。京都大学理学部卒業。産業医科大学助手、佐賀医科大学助教授(解剖学)を経て、2003年から国立科学博物館人類研究部勤務。2021年より館長。古人骨に残るDNAを分析し、日本人の起源や、古代アンデス文明を築いた集団の由来を研究している。科博で多くの特別展、企画展を手がけた
武井摩利[タケイマリ]
翻訳家。東京大学教養学部教養学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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