出版社内容情報
【内容紹介】
認知症専門の「きのこエスポワール病院」は開設して20年。「ボケても心は生きている」という信念で認知症のケアをしてきた。その信念はいささかも揺らいでいないが、10年前、「特別な人」として集団的なケアをすることの間違いに気づき、改革を始めた。日本における「ユニットケア」の始まりである。認知症の人とどのようなコミュニケーションをはかったらいいか、本書はそれを追求して新しいケアを提言する。
【詳細目次】
はじめに
プロローグ
1章 もっとできることがある
問題行動をコントロールすればいいのか/医学の「おかげ」はうすい/現状ではむしろケアのほうに力がある/認知症の方も生活者/「炉端の家」という構想/スウェーデンとの縁/「仕事をしないでコーヒーばかり飲んでいる」/「はじめは異様に思えた」スウェーデンのグループホーム/アメリ力的価値観とスウェーデン的価値観/もっとできることがある
2章 個牲豊かな普通の入たち
ユニットそれぞれの個性的な生活/徘徊にも異食にも普通の人と同じ動機がある/モールス信号でのコミュニケーション/手のマッサージが心をほぐして/奥さんのことが心配で心配で/良くなった原因がわからないケースも/ご本人は何をどう感じているか
3章「普通の生活」への改革
1.食事の改革
ユニットケアヘの第一歩/ユニットでの調理のきっかけ/押しつけでない、楽しさのある食事/「好きなものなら食べられるんだ」/ユニットで食事をつくるメリット/効率がよけれぱ合理的というわけではない/本人の視点で記録をつける
2.施設の改革
「一〇対五の体制」と三つの改革/普通の生活空間をつくる/サービスステーションの廃止/インテリアは職員が独自に/それぞれ自慢のインテリア/家庭の雰囲気と国民性/トイレを各部屋のベッド近くに/大勢の風呂から一人の風呂へ
3.職員の数を増やす
スウェーデンには徘徊がない?/二〇対七の体制から一〇対五の体制へ/職員は共に生活する人/ゆっくり生活を共にする効果/グループホームの基準は画期的だが/日本的ユニットケアの危うさ/エレンギとマツタケ/コンビニ型グループホーム/地域との密着を強める
4.職員の質を高める
何をしたらいいかわらない/自分たちのケアを再確認する/お年寄りの背景を知る/コミュニケーションのきっかけ/「ウソをつきながら介護していた」/骨つきの魚や晩酌も/汝と我の共感/先入観をもたないでお年寄りに接する/レベルアップした介護スタッフ/さらにステータスを高める/「もっとむずかしい人をみたい」/ピック病の方のグループホーム/ユニットの構成を考える
4章 職員たちの試み―全体発表会から
1.「きのこ老人保健施設」の現場から/二歳のル力君は六番目のスタッフ―「ぼちぼち」ユニットの報告/家族でさえ知らなかったこと―デイケアの報告
2.「きのこ荘」の現場から
ショートステイもユニット化で―「花園」ユニットの報告/逆デイケア、「円地の家」を活用する―「さえずり」ユニットの報告
3.「きのこエスポアール病院」の現場から
職員の出勤に「おかえりなさい」の挨拶が―「ひまわりの家」ユニットの報告/「あのむずかしい母に、こんな笑顔があコたとは」/訪問看護の悩みと喜び―訪問看護ステーションの報告
4.「西部いこいの里」(委託事業)の現場から
「長しゅう生きてーな」―デイサービス部門の報告/「ワシは厄介者じゃけん」―ショートステイ部門の報告/主役はあくまでもお年寄り―訪問介護部門の報告
5.「山手村総合福祉センター」(委託事業)の現場から
地域に密着した在宅複合サービス―訪間介護部門の報告/栄養士が配達まで行う―配食廿ービス部門の報告
6.「グループホーム」の現場から
グループホームとデイサービスの連動―グループホーム「おおえ」の報告/これ以上重度化したらという不安―グループホーム「炉端の家」の報告
7.「ケアハウス」の現場から
一〇三歳のおばあちゃんも元気に楽しく―「サービスハウスえすぼ」の報告
5章 ニューカルチャーと「バリデーション」
「ボケは怖い」という悪性の社会心理/オールドカルチャーからニューカルチャーへ/「みるケア」から「かかわるケア」へ/コミュニケーションを深める「バリデーション」/認知症の人が幸福になれば、自分たちも幸福に/バリデーションのテクニック―/バリデーション研修/そのときそのときのベストの方法を
エピローグ
あとがき
内容説明
認知症専門の「きのこエスポワール病院」は開設して20年。「ボケても心は生きている」という信念で認知症のケアをしてきました。その信念はいささかもゆらいでいませんが、10年前、特別な人として集団的なケアをすることのまちがいに気づき、改革を始めました。それが日本における「ユニットケア」の始まりです。認知症の人とどのようなコミュニケーションをはかったらいいか。本書はそれを追求して新しいケアを提言しています。
目次
プロローグ―いま、その人らしい生活が
1章 もっとできることがある
2章 個性豊かな普通の人たち
3章 「普通の生活」への改革
4章 職員たちの試み―全体発表会から
5章 ニューカルチャーと「バリデーション」
エピローグ―どんなに悪くなっても心は生きている
著者等紹介
佐々木健[ササキケン]
きのこエスポアール病院長。社会福祉法人新生寿会理事長。1948年岡山県井原市生まれ。1974年鹿児島大学医学部卒業。同年4月から79年1月まで岡山大学医学部神経精神科教室に勤務。1980年『きのこ診療所』開業。1981年特別養護老人ホーム『きのこ荘』開設。1984年全国初の認知症老人専門病院『きのこエスポアール病院』を開設。以来、一貫して認知症をはじめとする高齢者の医療およびケアに専心(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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