出版社内容情報
【解説】
清朝末期から近代化を進める過程で,中国医学は重要な伝統文化とする擁護論と,旧弊打破に例外なしとする説の間に大論争が起った。医療についての示唆に富むその全体像を解説。
内容説明
中国では近代化を進めていく過程で、「中国医学」は重要な伝統文化として擁護すべきだとする主張がある一方、旧弊を打破し、新中国を建設する中で、医学だけ例外にする理由はない、という考え方があり、伝統医学を残すべきか否かをめぐってすさまじい論争が起こった。医師や医療関係者のみならず多くの文化人がこの議論に加わり、社会的・文化的な観点からも問題が提議された。本書は、この論争とその間の経緯を中国近代史の中に跡づけながら客観的・総合的にとらえた名著で、日本の医療のあり方を考える上でも示唆に富む。詳細な訳注と索引を付す。
目次
緒論 文化的対立関係における医学
第1部 中国の伝統医学と近代医学の導入(伝統医学の体系;中国における近代医学の導入と発展 1800~1949年)
第2部 文化的、知的問題としての医学 1895~1949年(社会進化論者との関係における医学と国力;五四時期における医学と文化的偶像破壊;国粋と国医;科学と近代性―「国医」の排除;政府と中国医学―国民党内部の緊張)
第3部 科学、共産主義と「人民の医学的遺産」(共産主義者による伝統医学の復権;新しい社会の中の古い医学;台湾―過ぎしものへの回想;結語)



