われらみな食人種(カニバル)―レヴィ=ストロース随想集

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われらみな食人種(カニバル)―レヴィ=ストロース随想集

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  • サイズ 46判/ページ数 256p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784422390017
  • NDC分類 389.04
  • Cコード C1039

出版社内容情報

他者を自分と同一化するいちばん単純な手段は、何をおいてもまず、他者を食べてしまうことである。――「われらみな食人種」より

現代思想に構造主義を持ち込み、知的光景を一新した人類学者レヴィ=ストロースが、晩年にイタリアの日刊紙『ラ・レプブリカ』に連載した時評エッセイ集。
時事ニュースを構造人類学による大胆な連想と緻密な論理で掘り下げ、パズルを解くように描き出す。
巻頭には、実質的論壇デビューを果たした論考「火あぶりにされるサンタクロース」を収録。
80年以上にわたる知的営為をエッセンスの形で読める、最良のレヴィ=ストロース入門。

***

 本書はレヴィ=ストロースの没後編集の時評集である。イタリア有数の発行部数を誇る日刊紙『ラ・レプブリカ』に、1989年から2000年にかけて概ね年2回のペースで書き継がれた16の文章と、1952年の発表後にどの論集にも採録されることのなかった「火あぶりにされたサンタクロース」とが一つに編まれ、オランデールが監修するスイユ社「21世紀ライブラリー」シリーズの一冊として刊行された。
 本書の各論考はレヴィ=ストロースのフランスでの学術的キャリア――1949年の『親族の基本構造』と前後して始まり、1992年の『大山猫の物語』で締めくくられる――を挟む両端の時期に書かれたものである。一般の読者を想定しながら、距離や時代を隔てた他者理解を目指す人類学の営為がどのような物の見方を提供し、具体的な社会的役割を果たせるかを余さず伝えようというモチーフが貫かれている。[…]
 『ラ・レプブリカ』紙に連載された16の論考も、世論を賑わせた印象的な出来事や、偏愛する画家や工芸品の展覧会、人類学に限らない学術論文まで、いずれも着想源はさまざまで、ことによると雑多な印象も受ける。時評というにはやや意表を突いた切り口で始まり、そこに自身の主な研究対象であった南北アメリカ神話や親族構造、造形表現を中心に、時代も地域も異なるさまざまな話題がコラージュされ、当初の主題を掘り下げ、異化する。扱う主題も多彩だが、著者のこうした手つきはどの論考でも変わらない。[…]
 人類学にとどまらず当時最新の研究成果にも幅広く目配りして進められる晩年のレヴィ=ストロースの繊細で大胆な論の運びには、思わずにやりとさせられる。文化相対主義や多文化主義といった安易・安直な形容を許さない、世界を見る視線や世界に対する構えが印象的に浮かび上がってくる。
 本書はその意味で、著者自身による理想的な“レヴィ=ストロース入門”と言えなくもない。本格的な著作と向き合う際に必要とされる詳細な用語理解なしに、わたしたちの記憶にもまだ新しい出来事を起点にして、レヴィ=ストロースの世界のひろがりを手ぶらで散策するには、本書に代わるものはないのではないだろうか。
(訳者あとがきより)

内容説明

彼らは死を悼むために他者を食べ、われわれは治療のために他者を取り込む―“未開と文明”の固定観念を鮮やかに破砕する、知的で大胆な同時代評集。

目次

火あぶりにされたサンタクロース(一九五二年)
まるであべこべ(一九八九年八月七日)
社会には一種類の発展しかありえないのだろうか(一九九〇年一一月一三、一四日)
社会の諸問題―女陰切除と補助生殖(一九八九年一一月一四日)
自著紹介(一九九一年九月一〇日)
民族学者の宝飾品(一九九一年五月二一日)
芸術家の肖像(一九九二年二月二三日)
モンテーニュとアメリカ(一九九二年九月一一日)
神話的思考と科学的思考(一九九三年二月七日)
われらみな食人種(一九九三年一〇月一〇日)
オーギュスト・コントとイタリア(一九九四年六月二一日)
プッサンの一絵画の主題をめぐる変奏(一九九四年一二月二九日)
女性のセクシュアリティと社会の起源(一九九五年一一月三日)
狂牛病の教訓(一九九六年一一月二四日)
母方オジの帰還(一九九七年一二月二四日)
新たな神話による検算(一九九九年四月一六日)
「コルシ・エ・リコルシ」―ヴィーコを追いかけて(二〇〇〇年三月九日)

著者等紹介

レヴィ=ストロース,クロード[レヴィストロース,クロード] [L´evi‐Strauss,Claude]
1908‐2009。1908年、ベルギー生まれ。パリ大学で法学を修めるとともに、哲学の教授資格を取得。1935年にサンパウロ大学社会学部教授となり、人類学の研究を始める。1941年にはユダヤ人迫害を避けてアメリカ合衆国へ亡命、ニューヨークの新社会研究院で講義しつつ、のちの構造人類学に繋がる構想を練る。1947年にフランスへ帰国。1959年にコレージュ・ド・フランスの正教授となり、社会人類学の講座を新設。1982年に退官してからも精力的に執筆・講演活動を行った

渡辺公三[ワタナベコウゾウ]
1949‐2017。1949年、東京都生まれ。東京大学大学院修士課程修了。博士(文学)。2003年に立命館大学大学院先端総合学術研究科教授に就任、研究科長や副学長を務めた。専門は文化人類学

泉克典[イズミカツノリ]
1979年生まれ。立命館大学大学院文学研究科修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

冬佳彰

18
人類学者であるレヴィ=ストロースの1989年から2000年にかけての随想集。イタリアの日刊紙に書かれたものが主のエッセイということだが、こうしたテキストが載る日刊紙って、何て贅沢なんだ。題材はその時々の話題に関連したものになっている。人類学者の思考ってすごいもんだ、と感心する。俺が面白かったのは、『火あぶりにされたサンタクロース』『われらみな食人種』『狂牛病の教訓』かな。本書の題になっているように、レヴィ=ストロースにとって(西洋人にとって?)カニバリズムってのは、何かひっかかるものなんだろうな。(続く)2021/03/11

塩崎ツトム

9
レヴィ=ストロース最終講義(?)。補助生殖、観察するものへの観察されるもののまなざし。カニバリズムと狂牛病。芸術家、こだまの役割、モンテーニュ、ヴィーコ、オーギュスト・コント、そして神話的知性。「火あぶりにされたサンタクロース」も収録。2020/06/16

roughfractus02

9
ニューギニアのある部族に流行るクールー病、家畜の牛の餌に病原体のある牛骨粉を混ぜて発症する狂牛病、そして病原体のある脳下垂体や脳硬膜の移植で起こるクロイツフェルト・ヤコブ病は、同族を食べる「カニバル」に対するタブーを表す、と著者は言う。この類似性は、連続群としての自然、自然に触れる変換群としての無意識、弁別的で言語的な離散群である潜在意識からなる自然と文化の群論構造から説明される。全ては自然に触れているのだが、言語を操る人間とその技術にその連続性は変換され、分割され、粉々になって別のものに見えてくるのだ。2020/04/30

jackbdc

7
面白かった。自分自身の偏見と向き合うきっかけを与えてくれる。わかっているつもりで、実はわかっていなかった自分に気付く、その読後感が爽快。欧米や中国に対する日本の風習や価値観があべこべだとう話、農耕文化に対して狩猟文化が劣後するものではないという話は面白い。一番面白かったのは女陰切開と補助生殖の話。文化人類学の知見によって現代人が盲信する前提を覆す根拠を明解に与えてくれる。『いかなる慣行、習慣、習俗もそれ固有の文脈を踏まえなければ説明することはできない』という筆者の人間への洞察力の素晴らしさを堪能できる。2021/03/04

リノ

4
図書館本。目当ては「火あぶりにされたサンタクロース」だったのだが、カニバリズムについての話がいちばん印象的だった。そうやって人はずっと、何かを取り込んでいかないといけないんだ。世界は以前と比べて多少きれいになって生臭さは減ったかもしれないけど、やっぱり其処此処に人が人をのみ込んで餌にする行為が溢れているんだ。ぼくも誰かを取り込んで、ひとり満足して、眠りについているんだ。 他にも宝飾品と朽ちていくべき肉体との対比など、おもしろい視点がたくさんあって刺激的だった。2020/06/02

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