出版社内容情報
華々しい言論活動と比類なき大衆扇動力でその名を轟かせた雄弁政治家、中野正剛。福岡県中学修猷館から早稲田大学に進み、東京朝日新聞記者を経て東方時論社主筆として活躍した経験を糧に、衆議院議員8回連続当選、浜口内閣で政務次官となり、東方会を結成すると南進論を唱えた。日米開戦後は東條政権批判を繰り返し、憲兵の取り調べから釈放された直後に自宅で不可解な割腹自殺を遂げ、58年の生涯を閉じた。中野は政治家として何を目指し、なにゆえに自ら命を絶たねばならなかったのか。これまで十分に検証されてこなかったメディア政治家としての側面に光をあて、新たな人物像を描き出す。シリーズ第3回配本。
〈近代日本メディア議員列伝〉
明治から戦後にかけて〈政治のメディア化〉を体現したメディア議員を取り上げ、一人一冊で深掘りする、佐藤卓己氏単独編集による完全書下ろしの新シリーズ。国会議員がこぞってSNSで発信し続ける現代政治への向き合い方に自省を迫る、これまで無かった人物列伝。
内容説明
稀代の雄弁家はなぜ自ら命を絶つまで公然と東條批判を繰り返したのか。言論と政治の関係を問う新たな評伝。
目次
序章 狂狷たる政治家
第1章 慷慨青年の自己形成
第2章 街頭に飛び出す政論記者
第3章 革新派メディア政治家の一歩
第4章 二大政党と「政治のメディア化」
第5章 ポスト政党内閣期における民意
第6章 総力戦体制のなかの自由
終章 中野正剛と公論の時代
著者等紹介
白戸健一郎[シラトケンイチロウ]
1981年、北海道生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了(博士(教育学))。筑波大学人文社会系准教授。メディア史、歴史社会学専攻。「満洲電信電話株式会社の多言語放送政策」『マス・コミュニケーション研究』(82号、2013年)で日本マス・コミュニケーション学会優秀論文賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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