出版社内容情報
金属器や石の記念碑、装飾写本などに残る美しいケルト紋様。その幾何学的性質を解明し、コンパスと方眼で容易
に描けることを示す。
紀元5世紀には西方ヨーロッパなどの広い地域に住んでいたケルトの人々。彼らはギリシャ・ローマとは異なった文化的伝統をもち、とくにブリテン諸島ではキリスト教伝来以降も独自の文化を保持した。本書では、彼らが金属器や石の記念碑、装飾写本などに残した美しい紋様――うずまき、組ひも、鍵模様など、一見複雑な装飾の幾何学的性質を解き明かし、コンパスとグリッド(方眼)を用いて容易に描けることを示す。手を用いた実践的なケルト装飾論の本であり図案集でもある。
目次
原始時代のシンボル
天地を測る
ケルトの創生
生き生きとした線
自然を崇拝する世界観
ブリテン諸島の初期入植者たち
人間や動物の顔
異なる教え
さまざまなうずまき模様
円形模様の繰り返し〔ほか〕
著者等紹介
テットロウ,アダム[テットロウ,アダム] [Tetlow,Adam]
イギリス在住の作家、アーチスト。ケルトなど古代のデザインに造詣が深い
山田美明[ヤマダヨシアキ]
英仏翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Koning
30
ケルト圏の写本や碑文に現れる渦巻等の幾何学模様に関する本。どういうパターン(比率)で円や渦巻が描かれているのか?というのが続く。付録に収録されたものも含め数学的な事柄と神秘的宗教的事柄が絶妙な感じに表現されているこれらの文様を眺めて楽しむのもよし、実際試してみるのもよしという感じ。2019/11/10
花林糖
17
ケルト模様を幾何学的に図解。様々な模様について丁寧に解説されているけれど、私の頭では理解出来ず、理解することは放置しました...。緻密に描かれたケルト模様が美しく眺めてうっとり。2016/10/18
tama
11
他市図書館からのお取り寄せ本 次男の誕生日プレゼントに「デザインの本がいい」と云われ、内容確認のために。ケルトの組紐文様を実際に描く上での区画・ルートなどが細かく描かれている。しかしこの本小さいなー。図が「詳細不明」状態。しかし、ま、あいつなら読めるか。2015/07/28
入道雲
9
ケルト紋様、奥深い。コンパスと定規を主に使い、幾何学として規則正しい図形だったのだ!しかし自分ではみても真似できそうもない。アイヌのデザインにも通ずるものがあるように感じる。2022/03/26
momonori
7
著者のアダム・テットロウ氏は、イギリス在住のアーティストで、ケルトなどの古代のデザインに造詣が深い人物とのことです。これまでケルト紋様について調べてみようと思ったことがなかったので、驚きの連続でした。本書のタイトルのとおり、ケルト紋様は幾何学そのものだと思いました。九世紀のケルト系キリスト教会最高の学者であったエリウゲナが「現実は心の反射であり、私たちの内なる状態が外の世界を形作る」(四二頁)とし、また、「自然は神の顕現であり、神の特性が現れたもの」(同)と考えていたという指摘は、非常に興味深いものです。2024/10/20