出版社内容情報
エジプトからの脱出、紅海の奇跡、シナイ山で神から「十戒」を与えられる場面など、『旧約聖書』の大預言者にして、ユダヤ一神教の創始者・立法者モーセの実像に迫る。
目次
第1章 モーセの物語とその起源
第2章 さまざまな顔を持つ人物
第3章 モーセの実像を探る
第4章 さまざまなモーセ像
資料篇 モーセとその世界(立法者の物語:律法の石版;紅海の奇跡:ひとつになったふたつの物語 ほか)
著者等紹介
レーメル,トーマス[レーメル,トーマス][R¨omer,Thomas]
ローザンヌ(スイス)大学の旧約聖書学教授。同大学神学部長。「モーセ五書」と「歴史書」の専門家
矢島文夫[ヤジマフミオ]
1928年生まれ。文化史家。京都産業大学・宮城学院女子大学教授を経て、現在アジア・アフリカ図書館館長
遠藤ゆかり[エンドウユカリ]
1971年生まれ。上智大学文学部フランス文学科卒
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感想・レビュー
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roughfractus02
9
本書はモーセ五書、それ以前の他宗教の神話、歴史との関係から多数の図版と共にモーセ像に迫る。著者は、エジプト王に民の解放をモーセが訴える場面では、神の側から王の拒否を神の意志と捉える聖職者と、預言者モーセの側からエジプト全土の初子の惨殺という災いを証として記す非聖職者の記述を区別し、モーセの物語は両者の合成であると捉える。また、シナイ山でモーセが十戒を授かる間、麓の民がアロンに金の牛を作らせて崇拝する場面では、他の勢力の侵入の痕跡を読む。フロイト晩年の状況とユダヤ教の関係から読む「モーセと一神教」論を付す。2022/10/19
えふのらん
5
冒頭に旧約の概要があって、あとはユダヤ教、キリスト教、イスラム教それぞれの解釈の違いを説明している。預言者なのでそれぞれの書物で読み方が変わるのは当然なのだが、派閥によって、特にキリスト教内でもイエスの対立者と前任者(前の預言者)のどちらをとるかで揉めていたのは意外だった。あと、アメリカへの移民を出エジプト記になぞらえて、大西洋を紅海、自由の女神をシナイ山と象徴的に見ていた時期もあったというのも面白かった。4.02020/01/02
ベイマックス
2
思っていたより、宗教が絡み、世界史の一部のようで……。2019/12/15