出版社内容情報
【解説】
今日のイギリスの地で,ゲルマン系諸民族の侵入に立ち向かったケルト人の英雄,それがアーサー王だったという。伝説の起源と周辺諸国での受容,物語としての面白さを解説。
内容説明
カール大帝の大孫を自認するカベー家に対し、プランタジネット朝は「善王アーサーと円卓の騎士の伝説」を作り上げて対抗した。王権の権威付けという実に実用的な目的から作られたこの伝説は、やがて思いがけない発展を見せてゆく。
目次
第1章 アーサー王と歴史
第2章 伝説の創造
第3章 アーサーの生涯
第4章 封建制と騎士道
第5章 花咲くアーサー王文学
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
春ドーナツ
23
「円卓には上座はない」。コロンブスの卵でした。でも。アーサーが座った場所が「上座」になるのではと思う。そしてケルト神話にキリスト教がリミックスされて、「最後の晩餐」の長机へパラフレーズされる。伝説とはクリスマスツリー(プロット)の飾りつけ(挿話)のようなものだと思う。聖杯とかトリスタンとイゾルデとか。下剋上という言葉は大仰だけれど、挿話がプロットに繰り上がることもある。ところでアーサー王の伝説ってどういう風だったっけ。おさらいしてみたくて本を読み始めるも、派生や複合体でパンパンに膨らんでいて、迷子になる。2019/09/27
中島直人
22
(図書館)このシリーズは内容が薄い印象はあるが、ビジュアルが充実してて面白く読むことが出来る。カール大帝伝説を持つカペー朝に対抗するため、プランタジネット朝が作り上げたのがアーサー王伝説だったというのは驚きだった。2016/12/22
歩月るな
16
1997年初版、インターネットもまだそれほどではなかった頃のこの本はコストパフォーマンスがすこぶる良かったのだろうと思う。バーンジョーンズ、ウィリアム・モリス、ウィリアム・ベル・スコットやらのラファエル前派の絵画がフルカラーで掲載されている。これがイメージの基本なのだ。登場人物たちそれぞれの自伝形式や何やら、各々の表現したいようにやっている。権威付け、と言うか日本の源氏やらとは事情が違う欧州世界の血の繋がりが本当にややこしい。それを反映している。しかしシェイクスピアは決してこの伝説を題材には取らなかった。2017/09/14
いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00%完了】
15
*読む辞典・事典*西洋史ネタの小説読解の為読了。西欧文化の根幹をなすアーサー王と円卓の騎士伝説…もはや、西洋では社会常識となり。様々な歴史的エピソードに、その伝説の影が見出される。そんな『アーサー王』を斬新な視点で読み解く良書!?(紹介文・他より)――あまりにも有名すぎる『アーサー王伝説』。聖剣に選ばれながらも、人心を得ることが叶わず国を滅ぼしてしまった…。 ⇒続き2014/01/13
井月 奎(いづき けい)
13
アーサー王の伝説に多方面からの視線を向けた本で、歴史的背景、宗教観、人物像やモデル、実在の可能性などを探る。アーサー王物語を思う時に、運命との戦い、ということに考えが至る。アーサー王は、自身よりも義や人とのつながりを重んじ、マーリンを信じつつも、その予言よりも自身の信念を貫き傷つく。その姿は悲しいほどに愚直である。自身の運命と戦い、異教徒と戦い、自分の悪しき鏡といえるモルドレットと戦い傷つき永い眠りにつくアーサー王はモルガンの船によりアヴァロンへと連れて行かれる。私も戦い続ければアヴァロンへ行けるのか。2015/07/31




