出版社内容情報
【解説】
ギリシア神話の昔からヨーロッパの深層にうごめく伝説のエッセンスを巧みに昇華することで生まれた吸血鬼伝説。その成立を歴史,宗教,文学,映画,吸血鬼事件などで解明。
内容説明
ギリシア神話の昔からヨーロッパの深層にうごめく伝説のエッセンスを巧みに昇華することで生まれた吸血鬼伝説。その成立を歴史、宗教、文学、映画、さらに1970年のロンドンで起こった吸血鬼事件など幅広い資料で解明する。
目次
第1章 血の執着
第2章 認められた吸血鬼
第3章 吸血鬼信仰の黄金時代
第4章 吸血鬼の復活
資料篇―吸血鬼をめぐる伝説・文学・映画(吸血鬼現象を読み解く―生者の驕り・死者の復活;ドラキュラという名の暴君;幾世紀にもわたる吸血鬼信仰;合理主義者の反発;『ドラキュラ』と『カーミラ』;詩になった吸血鬼;ドラキュラの里、ルーマニア;暴かれた地下墓所の悪魔の謎;映画における文学作品の吸血鬼)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
10
感染した患者を本当に死んだか確かめず慌てて埋葬するペスト流行の緊急時に数日経って墓を見ると血まみれになってた現象に直面し、死体から血液を貪る吸血鬼の伝説が発生。世界的規模の災禍に加えて流血を快楽として味わう倒錯の猟奇性を極めたジル・ド・レやツェペシュ等の個人的趣味が世に知られ、様々な文化的水脈と絡まり合う中で膨らんでいった幻想の歴史を追いかける本。教会は聖書に載ってない存在に対して「教会の教えに背いた者と一括りにすることで、いわば吸血鬼の怨念を養分として教会が栄える、巧妙な信仰心統制の仕組みを作りあげた」2020/07/22
組織液
9
思ったより浅く、写真も沢山掲載されているんですけど、内容は吸血鬼初心者には小難しいところが多いような気がするのでどの層向けの本なのかちょっと微妙に感じました。ただイギリスフランスなどの東欧ではない地域での情報を得られたのは嬉しいです。資料篇の「吸血鬼現象を読み解く」も非常に参考になりました。読んで損はないと思います。2020/10/07
うえ
9
「宗教改革によって吸血鬼の迷信が言及された。ペスト大流行の時代、棺のなかで自分自身を食べると言われた死者は、遠くからでも生きている人間に死をもたらす霊的な力があると信じられた。墓のなかでなにかをかみ砕く音を聞いた、と現に数人の証言がある。ルターもレーラー牧師からこの種の事実を直接耳にしている。プロイセンとシロンスクでは、1552年から、物を噛めないように、死体の口のなかに石やペニッヒ硬貨を入れるのが習わしとなった。…初期の吸血鬼は、ドイツ語ではナハツェールと呼ばれた。死後他人にとりついて殺すという意味」2019/09/15
ゆっき~
6
求めていた内容じゃなかったけど、このシリーズは好きです。絵と写真がたくさんなのもよい。2014/02/16
azuemu
4
人類の吸血鬼信仰(ヴァンピリズム)とその変遷を解説してくれる翻訳された前半部分は読みやすく、勉強にもなる。後半部分の監修者による資料編はとっつきにくい。それでも最終版の映画に関する資料となるとこれから出来る限り視聴してみようかと思える塩梅だった。総じて自分の中での吸血鬼の歴史に関する解像度が格段に上がったのは確か。2025/05/05