出版社内容情報
【解説】
真のキリスト教王国を打ち立てるという大義を掲げて暴走,中世史を血で染めた十字軍の遠征。イスラム諸国の事情にも目を配り,バランスのとれた視点で歴史現象を解き明かす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
137
入門書としての位置づけであればいいのでしょう。最近は塩野さんの3部作の本が出ていてそちらを今後は読んでいこうと思うのですが、その手始めに高校世界史のレベルにかなり絵などを入れて概説的に書かれているので読んでおくことはいいと思いました。まあやはりキリスト教国の視点からかかれている部分が多いのは仕方ないことなのでしょう。2017/04/12
キャプテン
38
★★★★☆「世界はきっと、ぼくのものフェア」第八弾、十字軍編。十字軍、なんか聞いたことはあるけどよくは知らん、という人は多いのではないだろうか。聖地エルサレムをイスラム教から奪取するためにキリスト教圏の国々が徒党を組んだのが、十字軍。そんな感じで言えば聞こえはいいが、内実、巨大な暴力連合であり、掠奪者たちであった。占拠、掠奪、虐殺。十字軍の進む先に正義など何もない。呪いのような、現代にまで続く対立を生んだ暴挙だったのである。〝神〟というのは、非常に便利で、危険な道具であることを再認識した。核兵器も及ばぬ。2019/10/28
バズリクソンズ
23
現在の中東情勢をより深く知りたくて読む事を決めた書。そもそも宗教とは万人を幸福に導くための経典のはずなのに、聖地エルサレム奪還を掲げ、権力者の私利私欲で惨たらしい戦争を起こし、多大な犠牲者を出し現在でもその遺恨冷めやらぬ状況は、人間という生き物の愚かさを学ばなければならないと痛感させられた。当時の戦況を描いた絵画も多数カラーで載せており、歴史的価値を感じれる。諸説あるが本書は8回の十字軍遠征を簡潔にまとめられており、駆け足で十字軍の蛮行を知るには良書。そしていかに聖書が絶大な影響を持っているかを改めて認識2025/07/27
Joao do Couto
3
図版が多く、手に取りやすい入門書。このシリーズはいつか読んでみたけど、本書は読みやすい気がした。資料編があって、教皇ウルバヌスの宣言とか、イスラムの歴史書の記述なんかも掲載されているのがいい。にしても、十字軍はめちゃくちゃな活動だわ。2020/05/15
May
3
本シリーズは図版が多く、歴史をビジュアルに理解できる点がすばらしい(クラック・デ・シュバリエの写真を見るとなかなか感慨深い。)のだが、本書の場合、これに加えて資料編が重要だろう。現代の研究論文などの抄訳のみならず、イブン・アル・アシールの「完史」などのアラブ側の記録も載っており、当時の状況を読み取ることができるのだ。フランク王国の成立から滅亡までの通史となっている点、比較的詳しい年表がある点も評価したい。05年12月読了。2016/08/20