出版社内容情報
略奪者、傭兵、交易商人、政治的支配者として欧州史に深く関与したヴァイキングの独特な社会を再構成、歴史的存在として照射する。8?11世紀にかけて西欧諸国に恐怖に陥れたヴァイキング。しかし彼らは単なる略奪者ではなかった。時に傭兵として、商人として、あるいは政治的支配者として東西ヨーロッパの歴史に深く関与し、他方で農業を生業として独自の法的社会を築いており、その実態は一様には語れない。本書では主としてアイスランドのサガを用いてその社会を再構成し、歴史的存在としてのヴァイキングの全体像に迫る。ヴァイキング史の碩学による通史。
序 章 ヴァイキング、ヴァイキング時代、ヴァイキング活動
1 さまざまなヴァイキング像
2 ヴァイキング時代
3 ヴァイキング活動
4 ヴァイキングとは何であったのか
5 ヴァイキングと諸国家の形成
6 大海原を超えて
7 本書のねらい
第1章 ヴァイキング活動と北欧社会
1 ヴァイキングの生活
2 船と航海
3 社会関係、家族関係
第2章 農民――「独立王国」の主人
1 農民とはなにか
2 散居定住と農場世帯
3 自然志向型の農民経済
第3章 土地を求めて――植民と相続
1 新世界の発見・探検・植民
2 移住組織、土地占取、土地配分
3 山の放牧地、採草地、浜辺と海
4 遺産相続の慣行
第4章 商人なき交易
1 小農民の商い
2 市の立つ日
3 遠隔地交易
4 都市と交易地
5 物資流通は商業とは限らない
第5章 集会――法的共同体と祭祀
1 自立農民の社会形成
2 人的および地域的結集
3 集会制度は国家か
第6章 血の復讐――実力の世界の相互保障
1 実力の世界
2 『ラックスデーラ・サガ』――親族内フェーデの物語
3 平和維持の社会システムとしての復讐
第7章 歓待と宴――もてなしの社会
1 さまざまな宴
2 祭宴と権力
3 接待と租税の原型
第8章 贈与がむすぶ社会
1 人間関係を育成する贈与
2 婚姻関係を証明する贈与物
3 相続
4 王による贈物の強制
第9章 海軍役――農民の武装と王権
1 農民社会に王権が必要な理由
2 レイザング(海軍役)制度と在地組織
3 農民から国民へ
終 章 歴史のなかのヴァイキング社会
解 説 『北の農民ヴァイキング』から『ヴァイキングの歴史』へ小澤 実
あとがき
文献解題
索 引
熊野 聰[クマノ サトシ]
【著者】熊野聰(くまの・さとる)
1940年東京生まれ。東京教育大学文学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科中退、経済学博士。滋賀大学経済学部教授、名古屋大学情報文化学部教授、豊田工業大学教授を歴任(名古屋大学名誉教授)。著書:『北欧初期社会の研究』未來社、『サガから歴史へ』東海大学出版会、『北欧史』(共著)山川出版社、『ヴァイキングの経済学』山川出版社、『続・サガから歴史へ』麻生出版など多数。訳書5冊。
小澤 実[オザワ ミノル]
内容説明
8世紀末から11世紀にかけて西欧諸国を恐怖に陥れたヴァイキング。だが、彼らは単なる略奪者ではなかった。傭兵、商人として、あるいは政治的支配者として東西ヨーロッパの歴史に深く関与し、他方では農業を営み独自の法的社会を築いた。本書では北大西洋のヴァイキングに着目、サガを用いてその社会を再構成し歴史的存在としてのヴァイキングの実像に迫る。北欧初期社会史のパイオニアによる必読の1冊。
目次
序章 ヴァイキング、ヴァイキング時代、ヴァイキング活動
第1章 ヴァイキング活動と北欧社会
第2章 農民―「独立王国」の主人
第3章 土地を求めて―植民と相続
第4章 商人なき交易
第5章 集会―法的共同体と祭祀
第6章 血の復讐―実力の世界の相互保障
第7章 歓待と宴―もてなしの社会
第8章 贈与がむすぶ社会
第9章 海軍役―農民の武装と王権
終章 歴史のなかのヴァイキング社会
著者等紹介
熊野聰[クマノサトル]
1940年東京生まれ。東京教育大学文学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科中退。名古屋大学教養学部教授等を歴任。西洋経済史、北欧史専攻
小澤実[オザワミノル]
1973年愛媛県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。立教大学文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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